短篇
□惚れたら負け2
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「会長おはようございまーす!」
「ああ、おはよう。」
にこっと微笑むと、役員の子達は頬を赤らめる。
これが俺の日常だが、なぜこの学校の奴ら(男子)は俺を見てこの反応を返すんだ?
ここは共学で男子高でも、ましてや町から遠く離れた学校でもないのに、なんで異様にホ○の確率が高いんだ。
謎だ
外を歩けばピチピチなお姉さんがうろついているというのに・・・。
入学したての頃の俺の下駄箱は、毎朝野郎のラブメールでいっぱい。
最初は女子からだけと思っていたが、さすがに大樹や啓なんて名前の女子はいないだろう。
俺が会長になってからは、なんか影で俺を見守る鯛。あっ、隊だったか。が出来たらしく、そういのはあまりなくなった。
「会長、今月の集計です。」
「ありがとう。」
「はいっ!」
いや、そこで張り切って返事しなくても。
「会長ー、今日の午後にデートしよう。」
・・・無視だ、無視
「ねえ、会長さん聞いてる?」
これは一種の幻聴だ
「会長〜、俺拗ねますよ。」
この頃疲れていたからなー
「聞いてくれないとキスしますよ?」
ばきっ!
いい音はしたが、拳を受け止められてしまった。
ちっ
「なーなー行こうよ、俺と行くと面白いと思うよ。」
このアホ王子先輩はまだ懲りていないようだ。
なにかのチケットらしいものをプラプラと目の前で動かされる。
「そんなに行きたきゃ、1人でどこへでもいけ、というか一生帰ってくるな。」
「ひどいなー、でも行かなくていいの〜?これ先生が調べてこいっていわれて預かったものなのに。」
それを早く言え!
先輩が持つチケットを奪い取り、表面を見た。
チケットは映画のチケットだ。
「なんで映画のチケットなんだ?」
「この頃、うちの学生が映画館で悪さをしているという情報があったんだ。チケットは2枚しかないんで俺と会長で行きましょう。」
「そうか。おい、大枝!一緒に行くぞ。」
「・・・え?」
突然呼ばれた大枝は、ぽかんとこっちを見ている。
「なんで!?俺と行こうよ会長。」
誰がお前と行くか。
「大枝、明日行くから用意してろ。」
「うん、わかった。」
大枝は俺と同じ時期に生徒会に入ったので、生徒会の中では一番信用できる。
「せっかく会長とデートが出来る機会だったのに・・・。でもしょうがないね、会長に選ばれたんだし。」
そのまま生徒会室から出て行った。
珍しい、あのアホ先輩があっさりひいた
何かの間違いか?明日はきっと霰か雷だな
まあこれで仕事がはかどる。
この考えこそ、間違いだとは気づくよしもない俺だった。