短篇

□ギブ ミイ ブラッド
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「お願いだ!1滴でいいからっ!」

長身でハリウッド俳優も顔負けな男が、泣きまねをしながら追いすがってこられるのはかなり鬱陶しいものがある

「うるさい、あっちにいけ」

俺は男を蹴飛ばしながら築30年にあるボロアパートの扉を開き、男を締め出す

しかし男は玄関の扉をすり抜け、柳(やなぎ)の腕にしがみ付いてくる

「鬱陶しい・・・」

柳の明らかな拒絶に美形の男、クラウドはショックを受けて立ち止まる

「なんでだ!?この俺の何が悪いんだ!」

「全部だ!!」

むかむかしながらすっかり色あせた畳に座る

「それと、人の家に上がるときは靴を脱げといつも言っているだろ」

怒りを抑えながらクラウドの足元を指差す

「俺の国には靴を脱ぐという習慣がなくて・・・つい、な」

「そうか、なら今すぐ国に帰れ」

どこまでも冷たい柳にクラウドは悲しい瞳で柳を見つめる

「・・・・おい・・・やめろ、そんな眼で見るな」


まるで俺が捨ててるみたいじゃないか・・・


「もう・・わかった!・・わかったから・・・」

それでもまだ無言のまま見つめてくるクラウドに、柳はシャツに手をかけてボタンを胸のあたりまではずし、日に焼けていない白い首筋を覗かせる

「ほら・・・吸っていいぞ」

「・・・柳」

そっと伸ばしてくる手を引き、透けるよな金髪が流れる髪を掴んで首筋に頭を押し付けるように近づける

反らされた首筋に薄く浮きだす血管を見てクラウドは喉の渇きが強くなる

そして、人間のものとは明らかに違う鋭く尖った犬歯を首筋に突きたてた

「っ・・うっ・・!」

ぷつっという音と一緒にどくっと血が首筋から鎖骨に赤い筋が流れる

当たり前だが噛まれると痛い、痛いのがわかっているのに俺はこいつに毎回貧血を起こすほどに血をやる


お人よし・・・そうでなけりゃ、唯の馬鹿か・・・


ふっと息をつくのと同時に吸われているとくる、憔悴感に腰から下に力が入らない







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