物語

□Episode.2
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頼む!と手を合わせられ、リナリーはため息をついた。

「…しょうがないなぁ」

頭を悩ませるリーバーのため、何より落ち込む友人の為
リナリーは一肌脱ぐことを決めたのだった。


「夕月…?」

そおっと頭を撫でるように触れると、彼女の髪が濡れていることに気づいた。
僅かに香る石鹸の香り、シャワーを浴びてきた直後だろうか。


「…もう、ちゃんと乾かさないと風邪引いちゃうでしょ?」

リナリーがもう一度頭を撫でると、夕月はゆっくりと顔を上げる。

「リナリ…」

今にも泣き出さんばかりの潤んだ瞳で
夕月はか細い声を出した。
只でさえ幼い印象を受ける彼女が
さらに幼く見えてしまう。

「…おいで夕月。髪、ちゃんと乾かそう?」

確かコムイに、自分よりも少し年上だと聞いた覚えがあったが
リナリーの口から、自然とそんな言葉が零れた。
手を差し出せば、夕月は素直にその手を取る。

「ちょっと休憩ね〜」

夕月の背中に手を添えながらリナリーが声をかけると
それを受け取った科学班の面々は
誰一人異論を唱えることなく、一斉に頷いたのだった。
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