物語

□Episode.2
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 いくつもの並んだカップを並べ、暖かいコーヒーを注ぐ。

その中の一つ、他のシンプルなカップとは雰囲気の違うカップが
女の子らしさを漂わせながら、ポツンと目を引いている。
リーバー班長率いる科学班唯一の女性研究員、夕月のカップだ。

甘党な彼女は、コーヒーをブラックで飲むことができない。
それを知らない最初の頃、リナリーに遠慮したのか、文句は言わないものの
難しい表情で、コーヒーを少しづつ口に運んでいた夕月を不思議がって
リーバー班長がどうしたのかと問いかけたところ
半べそをかきながら『すっぱ苦いです…』と呟いたのだとか。

その時の様子が可笑しかったと、班長は未だに口を滑らせては
夕月を慌てさせる。

彼女のカップに半分程コーヒーを注ぐと、
砂糖を加え、その半分に暖かいミルクを加えカフェオレに。

「これでよし、と」

並べたカップをトレーに乗せ、リナリーは微笑んだ。
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