物語
□Episode.3
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リナリーが夕月を連れてラボを出てから
一時間経つか経たないかの頃の事。
「こんにちは」
ラボに現れたのは、白い髪の少年。
「アレン?どうした?」
科学班の方からの報告などは
基本的に室長であるコムイを通して
エクソシストに伝えられる為
アレンがラボを訪れるのは珍しいことだった。
いつもならば、ここに居るはずの夕月が
偶然にも居なかったのは、幸か不幸か…
そんな事を考えながら、リーバーは作業の手を止め
アレンに声をかけながら彼の側にまで足を運んだ。
「あの『ユヅキ』さんて、科学班の方ですよね?」
「へっ?」
予想もつかなかったアレンの言葉に、リーバーはもちろん
他のメンバーも、思わず手を止めアレンに視線を集中させる。
「な、なんです…?僕何かおかしな事言いました…?」
周りの大袈裟にも取れる反応に、アレンは訝しげな表情を見せた。
「いや…すまん、まさか名前を知ってると思わなかったからな…」
「あぁ、彼女の私物に名前が入ってたので…ホラ」
リーバーが頭を掻きながら説明をすると
アレンは納得したように表情を緩ませ
返そうと持ってきた、あの白いハンカチを取り出した。