物語

□Episode.∞
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<七夕物語>

 カシャ!
眩い光が一瞬だけ大きく華ひらく。

「はい、これで撮影終わりだよ〜」

『光の発信源』を構えていたジョニーが
にこやかにそう伝えると
夕月は、整えていた体制を元に戻した。

「ほ、本当に私なんかでよかったんでしょうか…」

おどおどとした様子で近づくと
ジョニーとその隣にいたリーバーを
困ったような表情で彼女は見上げた。

「まだそんなこと言ってるのか?」

夕月の頭をくしゃくしゃと
子供にそうするように撫でながら
リーバーが呟く。

「こっちの方が無理言って頼んだんだ、ありがとな、夕月」

リーバーが微笑むと、彼女は頬を少しだけ染め
首を左右に大きく振った。

「い、いえそんな!私も…嬉しかったです…」

そう答える夕月は、美しい和風の衣装をまとっている。
それは日本に伝わる伝統行事『七夕』の織姫の衣装だ。

7月7日に一度だけの逢瀬を許された恋人。
切なくもロマンティックなこの行事。
それと同時に、この日、笹を綺麗に飾りつけ
短冊に自らの願いを綴って括りつければ
願いが叶うともされているのも有名である。

戦争の終わりを、明日の平和を願い
日々戦っている教団の皆の希望になればと
元はコムイの提案から始まった撮影会だった。

しかし…
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