Floraison

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今日は天気がいい。
スリーズは今日も花の様子をスケッチし、メモする。
最近雨続きでそろそろ庭の花たちも日差しを求めている頃だった。
やっと出てきた太陽に心做しか花たちも喜んでいるようにみえる。



ここは花の町 フロラリア。
住んでいる人々は皆心優しい人ばかりで自然を一番大切にする。
私はそんなのどかな町の花屋の娘だった。



「今日は久々に森にでかけよう
小鳥のことも気になるし、動物達にも花占いしてあげたいな」



ということで1週間ぶりに森へでかけることに決めた。
スリーズは5歳の頃に町から少し離れたところにある森の中で森の動物たちと遊んでいたとき、たまたま見つけてしまった悪魔の実『ハナバナの実』をそんなものとは露知らず食べてしまったのだった。



それからというもの、父と母と自分だけの秘密として、隠して生きてきたが時々森へでかけてはこっそり能力を試していた。



『ハナバナの実』の能力は、『花』を自分自身から生み出すことができ、その『花』の花言葉のもつ意味を実現させることができる。といったものだった。



彼女が動物たちに花占いをするといったソレは、占いをして花を生み出しその花や花びらを食べたり身につけたりすることで動物の怪我を治したり、心を癒したりときには元気づけたりすることができるのだった。

そんなスリーズは森の動物たちにとっての友達であり、医者であり、カウンセラーでもある。




そんな中毎朝うちに通っていた小鳥がこなくなった。
彼女は早起きをしては 小鳥たちにえさをあげている。

だが、ある日を堺にパタリと小鳥たちがやってこなくなった。
もちろん、渡り鳥だったわけではないから何かあったのだろうとスリーズは思い 森へでかけようとしたのだがここのところ雨続きでなかなか森へ行けないでいたのだった。
やっと天気がよくなったのでこれで小鳥を探しに行ける。
そう思うと自然に足が動き出していた。





「どうしよう……私飛び出してきちゃったけど この道でよかったっけ…… 」

迷いに迷ってやっとスリーズは小鳥の巣のある木下へ辿りついた。
しかしそこにいたのはスリーズだけではなく、もう1匹の生き物。



まだ小さな小虎だった。
木の上によじ登ろうと爪を木の幹にひっかけながら悶えている。



もしかすると小虎がこのまま登ってしまうと木の枝の上の小鳥が食べられてしまうかもしれない…!




急いで地面の上に落ちていた木の枝でよじのぼろうとしている小虎の右足をつついた。



「ガルルルッ」


「ひっ!!」



小虎といえども虎である。
はじめて聞いたうなり声にスリーズは怯みそうになるが、大事な友達の小鳥を思うと勇気を振り絞った。
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