長編
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『失礼します。』
丁寧にノックをし部屋に入る。
その部屋には(無駄に)高そうな骨董品やらなんやらがたくさんあった。
『…なんですか。』
「まぁまぁ、まずそこに座りなさい。」
教官のニヤニヤした顔。
いつ見ても虫唾が走る。
今、白竜と練習していた途中に教官に呼び出された。
いま、僕がめちゃくちゃ焦ってるということを教官は知っているのだろうか。
反フィフスってバレないように教官とフィフス関係者には出来るだけ関わらないように頑張ってたのに。
あぁ〜あ、明兄にどうやって説明しようかな。
「…おい、聞いているのか?」
『すみません、聞いてませんでした。』
だいたいあんなサッカーをさせるあんた達の話しなんて好んで聞く人なんていないでしょ、うん。
「……ではもう一度聞く。お前の化身を出せ。」
『っ…化身?なんですか、それ。あぁ、今 都市伝説として有名なアレですか?そんなもの出せるわけないでしょう。教官が冗談を言う人だったなんてビックリです』
出来るだけ、出来るだけ棒読みにならないように注意しながら一言一言話す。
…どうして教官が僕の化身の事を…?
「誤魔化す気か。…まぁいい。とにかく明日の練習で化身を出せ。これは命令だ。」
『…出したことない化身とやらをどうやって出すというのですか。』
「…天空の使者、クェーサー。どんなものか楽しみにしてるぞ。月森くん。いや、月森さん。」
そういって教官は部屋を出て行った。
その瞬間足の力がぬけ、ガクンと膝をついてしまった。
『嘘だ…!なんでフィフスセクターが僕の化身の事を…?あれは明兄たちの前でしかだした事がないのに…
落ち着け…落ち着け…!』
深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
『…大丈夫、大丈夫。落ち着くんだ、まだ反フィフスってバレたわけじゃないんだから…。』
自分に言い聞かせるようにそう呟くとなんとか落ち着く事が出来た。
そして部屋をでてすぐに明兄に電話。
【もしもし。七星から電話なんて珍しいな。】
『もしもし明兄?…ちょっとやばいかも。僕の化身の存在がバレてる。』
【…はぁ?なんでだよ?七星の化身は秘密兵器だったのに…?まさかっ化身を出したのか?】
『まだ化身はだしてないけど…なんかバレててさ。明日の練習で化身を出せって言われた。それと、今更になって僕が女って気付いたっぽい。』
【そうか…。いざとなったら出させばいい。化身の存在がバレてしまった以上七星が危険だ。】
『OK。それとね、僕に相棒が出来たんだ!』
【ふーん…どーせフィフスセクターのやつらだ。…仲良くなると後が辛いぞ。】
『…わかってる。
…でも白竜と京介とカイと弾と功治と巻人達とは相変わらず仲良しのまんまだし、新しくAチームになった真琴と平太とも話しが合うんだー。』
【へー、へー。お仲が良さそうで。大変よろしいですね。もう切るぞ。】
『ったく、なに怒ってんだか。じゃあね。』
【………怒ってねぇし!くれぐれも気をつけるんだぞ。じゃあな!】
つーつーつー
明兄との電話を終え、急いで部屋に戻る。
『あっちゃ〜。これは…ちょっとやばいかもしれないなー…。確実に怒ってるじゃん、明兄。
まぁ、とにかく、明日を乗り越えなきゃ。』
僕は部屋に向かう途中のエレベーターで小さく決心する。
『絶対化身だすもんか。フィフスセクターの言いなりにはならない。』
そう心に誓って部屋へ向かった。
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ついにフィフスセクターの牙が七星ちゃんに…!
次は全面的にシリアスです。
七星ちゃん達、Aチームになにかがおこる!
…はず!