短編☆

□俺しか知らない君の秘密。
1ページ/3ページ



『リュウジ君!』


名前を呼ばれたので声のほうを見てみると、タオルを持ってこっちにくるマネージャーの仁美の姿があった。


『はいっ!練習お疲れっ!』


そういってタオルを渡す仁美はマジで天使だ…。
今までの疲れが吹っ飛ぶ。

俺がお礼を言おうとすると


「仁美ちゃん?どうして…緑川だけ?」
「そうだよ〜。俺等にもタオルぅ」
「ひいきはダメだよ〜?」
「マネージャーは選手に平等に接して下さい!」

と黒いオーラが出ている吹雪やヒロトや風丸や虎丸、その他大勢の姿が。
なんとあの豪炎寺まで!

『あはは〜。ひいきなんてしてないよぉ。はい、みんなも練習お疲れっ!』


その途端にみんなの頬が緩む。

はぁ…。

俺は仁美の事が好きなのだが…
仁美はモテる。
世界選抜の時に入って来た新マネージャーで、その容姿と明るさでみんなを虜にしたのだ。


もちろん俺もその一人ってわけで。

リュウジ、と名前呼びされているから有利かなと思うだろうが、仁美はみんなの事を名前で呼んでいるのだ。


はぁ。


『守君!はやく体を休めないと怪我するよ!?はい、ドリンク!』

「あぁ!わかった!ありがとう!((ドヤ」

うわ、円堂…
いま確実に狙ってただろ…!!

俺を含めチームメートが円堂に殺気を放つ。


という感じでみんな仁美の事が好きなのだ。


でも仁美は絶対ヒロトとか吹雪とか豪炎寺とか風丸とかが好きなんだろ〜な。


あぁ、自分で言っておいて悲しくなって来たよ…。


と気分が沈んでいる所に

『リュウジ君っ!もうすぐ練習再開だって!』

仁美が声をかけてくれた。

「…ぁ!ありがとう。さっきのタオルも…!」

ただ話すだけなのにどうしてこんなに心臓がバクバクするのだろうか。

『どういたしまして!ほらっ!いってらっしゃい!』

仁美に背中を押され、グラウンドに向かう。

その後の練習はもちろん、絶好調だった。


練習終わりのミーティングで

「明日の練習は休みにする。体を思いっきり休ませろ。…以上。」

ということになった。



「やった〜!」
「ね、みんなで何処かに行きましょうよ!」

と言う木野さんの提案でみんなで動物園に行く事になった。


「いいね〜!動物園っ!!ワクワクするな〜」
「俺、虎が見たいです!」
「今の時期、ペンギンはいるのか…」

とみんなテンションが上がっている。

俺だってとても楽しみだ。

仁美もはしゃいでいるのかな?と思い
たまたま隣にいた仁美の方を見ると今にも泣きそうな顔をして俯いていた。

…そんなに嬉しいのだろうか。

そんな仁美の姿はとても可愛らしかった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ