短編☆
□春の誓い
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あのね…
お日様園のなかにある桜の木のなかの1番大きな木の下で結ばれた2人はね…
「こら〜仁美!なんなのこの散らかしようは!」
『ひ、瞳子ねぇさん!それはその…い、今から片付けようとしたてたの!』
「だったらはやく片付けなさい!」
『は、はーい…。』
今日も聞こえるあの声。
仁美と瞳子ねぇさんの声。
勉強もスポーツも料理もなんでも難なく出来る仁美。
しかし、なぜか仁美は片付けが出来ない。
完璧すぎる人は近寄り難いが仁美はどこか抜けているところがあるのでみんなからとっても好かれている。
女子には(片付け以外は)頼れる信頼出来る人として。
男子にはとっても可愛い女の子として。
『あぅ…。こんなに散らかしたつもりはないのに…』
「仁美、手伝うよ。」
『ヒロトっ!お願い〜』
「俺も手伝う!」
『リュウジ!ありがと!』
すると他のみんなも仁美を手伝い出す。
仁美が好きだから。
もちろん俺も仁美の事が好きで。
出来るなら俺だけのものしにたいと思っている。告白なんて出来るはずはないけど…
『…ふう。ありがと、みんな。助かっちゃった!お礼になにか作るよ!』
「うーむ。俺はアイスが食べたい。」
『ふ、風介〜?アイスは無理だよ〜。他になんかない?』
「冗談だ。ただ仁美を困らせたかっただけだからな。困り顔の仁美も可愛い。」
『なっ、〜//////!』
「「「「風介、てめぇ!なに仁美を口説いてるんだよ!」」」」
「決まってるだろう。本気で仁美が好きだからだ。」
「「「は?」」」
「仁美、好きだ。」
…!
嘘だろ?
風介が仁美に告白してる…?
仁美をみると嬉しそうに頬を染めていて。
あぁ、そうか。
仁美は風介の事が好きなのか。
「っ〜!!!」
『…ヒロト?』
俺は走ってその場を離れた。
あんな嬉しそうな仁美の顔、初めて見た。
それが…俺じゃなくて風介にむけて。
悔しい…!!
無我夢中で走っていると目の前には大きな桜の木が満開に花を咲かせていた。
綺麗。
ムカつくぐらい綺麗。
今の俺には綺麗なものが素直に言えない。
そういえばここにはジンクスがあったっけ。
『…ト!…ヒロトっ!』
名前を呼ばれたほうに体をむけるとそこには息を切らして仁美が走ってきた。
『ヒロト…?どうしたの?急に抜け出し「そっちこそどうしたの?はやく風介のところに行けばいいじゃないか」…風介?どうして?』
きょとんとした顔で尋ねてくる仁美。
その態度に俺のイライラ度が増す。
「とぼけるの?風介が待ってるんだろ?はやく行けよ!…お前が行かないなら俺が行く。」
そういって歩みだそうとすると腕を掴まれた。
「なっ!『聞いて!私が好きなのは風介じゃないよ!…その。ええっと。
……ロトが…き。』
急に真っ赤にして俯く仁美。
「え?いまなんて『いいから聞いて!』
そしてはっきりと言った。
ヒロトが大好きっ!
その時の仁美は今までで1番可愛くて1番美しかった。
「で、でもあんなに嬉しそうにしてたじゃんか。」
『そ、それは…。人から告白されたのが初めてだったから…。』
「(そうなんだ…)じゃあ、俺が二回目になるわけだ。…俺も好きだよ。仁美。」
ちゅっ
その時桜の花びらが舞った。
桜が祝福してくれる。
あのね…
お日様園のなかにある桜の木のなかの1番大きな木の下で結ばれた2人はね…
永遠に幸せになれるんだって。