短編☆

□ヘタレだけど、
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『皆さん、お疲れさまですっ』

「仁美〜、今日も疲れたよー」
「僕も〜」

『天馬、信助、お疲れさん。はいっ、これタオルとドリンク。』

「「ありがと〜」」


練習が終わってヘトヘトになってベンチにやってくるサッカー部の皆さんにドリンクやタオルを渡す。

これは私たちマネージャーの当たり前の仕事。
私にはあと一つ特別な仕事がある。


「仁美、出番だよ!」

『で、でも〜。』

「いつもの仕事でしょ!ほら、いっておいで!」

『あ、葵…うん!』


ベンチから少し離れたところにいる彼のもとへ私は走る。


『つ、剣城くん!今日もお疲れ様っ!これ…』


それは、剣城くんにタオルとドリンクを渡すこと。
別に私達は付き合っているわけでもない。
ただ、私の片想い。

「あぁ、…さんきゅ。」


そういって微笑んで、着替えにいった剣城くん。
その笑顔に私の心臓は大きく跳ね上がる。

剣城くんは私の恋している相手。


剣城くんは改造制服を着ていて最初はとっても怖かったけど、マネージャーの仕事を手伝ってくれたり、サッカーのプレーをしている姿をみて実はすごい優しくてかっこいい人なんだって思って、気がついたら剣城くんのことを目で追うようになっていた。


水鳥先輩や茜先輩、葵にはこの気持ちがばれていていろいろ気を使ってもらってる。
だから、私が剣城くんにドリンクやタオルを渡すことが出来るのだ。


もっと仲良くなりたいとは思うけど
私にはそんな勇気がない。



「仁美〜!着替えるよ〜!」

『あっ、葵!待って〜』


そして私たちも制服に着替えるために女子更衣室にむかった。



「えぇぇ〜!また話せなかったのかよー!」

『は、はい…』

「ったく、仁美のヘタレ具合にゃあきれるぜ…」

「ふふふ、仁美ちゃん、可愛い。」

「可愛いじゃねぇよ!一体いつになったら進展するんだか。」

「たしかに…。
仁美、もっと積極的にいかないと…取られちゃうよ?」

『ゔっ…!』


葵に痛いところをつかれてなんにも言えなくなる。
剣城くんは…正直モテると思う。
だってあんなにかっこいいし、優しいし…

クラスでも女子の何人かがきゃーきゃー言ってるのを聞いたこともある。


『それは…嫌だけど…。
本人を目の前にすると緊張してっ…』

「じゃあー、まずはメールからだなっ!そこから仲良くなればいいんじゃね?」

「水鳥ちゃん、名案。」

「いいですね!仁美、剣城くんのメアド持ってる?」


持ってない、と答えると葵は私の腕とカバンをつかんで走りだした。

「水鳥先輩、茜先輩、あとは私に任せてくださいっ!お疲れ様でした!」



そしてそのまま校門についた。

「いい?剣城くんは多分1人でくると思うから自分でアドレスを聞き出すの。最悪、サッカー部の連絡用って言ってもいいから!」

『む、む、む、無理ーーー!』

「仁美、進展したいとは思わないのっ!?」

『そ、それは…でも…』

「でもじゃない!あんた、いま勇気ださなくていつ勇気だすの!?わかった?」

『は、はいっ!』

葵のものすごい剣幕に正直ビビる。

「ほら、きたよ!仁美ならいける!頑張れ!」

と言われ本当に背中を押された私。
すると目の前には剣城くんが。


「伊敷…?なにしてんだ?」

『あ、あのねっ…その…』

「…なんだ。はやく言え。」

急に校門から表れた私を不思議そうな目で見てる剣城くん。

あぁ、もう後にはひけない!


『つ、つ、剣城くん!私にメアドを…!教えて下さい!お願いします!』

そして勢いよく頭を下げる。


すると頭の上から笑い声が聞こえてきた。


「はっ、ははは!なんだ…それだけかよ…。
いいぜ、教えてやる。赤外線でいいか?」

『う、うそっ!本当に?ありがとう!私が送信するね!』


ぴろりんぴろりん

「…家に帰ったらメールする。じゃあな。」

『あ、ありがとう!』

「〜っ!////」


そして剣城くんは帰って行った。

だけど私は葵が来るまでその場を動けなかった。




一歩前進。




(葵ぃぃぃぃ!わ、私、私っ…!!うぇーん。)
(よく頑張った!偉いっ!)
(いい?メールするときにも注意してよ?ここからが勝負なんだから!)
(返事送れるかなっ…。はやく来ないかな…!



あっ…!)



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中編にしようと思ったヘタレヒロイン。
ボツにして短編に、そしてオチを作りました。
実は剣城も仁美ちゃんの事が好きで、初メールから告白とか…???

暇だったら続編書いてみます(笑)


ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!

ま〜

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