Present for.....

□2人なら怖くない
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「なぁ〜大川。今日の放課後の掃除当番俺、優しいからお前に譲ってやるよ。」


『…うん。』


はぁ…またかよ。


毎日毎日、クラスメートにコキ使われている同じクラスの大川穂。


穂とは親同士が仲がいいし、家が隣なので名前呼びだし、それなりに仲がよかった。


学校では大人しい性格の為穂はとても可愛いのに毎日毎日クラスのやつらに面倒な事を頼まれる。

今日だってそうだ。


断ればいいのにな、と思いながら眠りにつくとホームルームが始まってた。




そして放課後。
部活が終わった俺が帰っていると目の前に穂が歩いていた。


「よぉ…。」

家も隣だし、避ける理由がないので声をかける。

『あ!京介っ、ちょうどよかった。一緒帰ろうよ。聞いて欲しい事もいっぱいあるし!』

「…んで?今日はなに頼まれたんだ?」

『えっとね。数学の課題でしょ、花の水やり、資料まとめ、掃除当番…かな。』


多いな…。


『まじ、ムカつくんだけど。自分でやればいいじゃん!って感じ。』


始まったよ…。

『なんで私がやr「ストップ!この話は家でしような?…お前声でかいから。」

俺がいうと渋々って感じで穂が話すのをやめた。


そう。こいつは二重人格で、学校では大人しいのに学校が終わるといつも俺に愚痴りにくる。

この穂の明るい性格を知っているのは穂の家族と俺の家族だけ。


もちろん、学校で穂が大人しいくて家では性格が違うという事を知っているのは俺だけで。

それだけでおれは優越感を感じていた。
だって俺は穂が好きだから。


『ちょっと京介、聞いてる?』

お互いがご飯を食べてお風呂入った後に開かれる穂の愚痴り大会。
愚痴る内容は毎日一緒。


どうして私が!

とか

自分でやればいいのに!

とかだ。


俺の答えも毎日同じ。


「ぁあ、悪りぃ。でもよ…毎回言ってるけど、断ればいいだろ?」


いつもはそれが出来たら苦労しないよ、とか言ってくるので、はいはいと頷く準備をしていた。

しかし


『だって…怖いんだもん。』


返ってきたのは穂の弱々しい声だった。



『京介は強いから大丈夫なんだろうけど、私は弱いから…変わるのが怖い。』


穂を見るといまにも泣きそうな顔でこっちを見てた。


そんな彼女が愛おしくて俺は自然に穂を抱きしめていた。


『きょっ、京介?』

「…ってやる。」

『へ?』

「俺がお前を守ってやるよ。俺は…俺は…お前が好きだ。お前の笑顔をずっと守る。だから…怖くない。大丈夫だから、な?」

俺が囁くと穂はこたえるように俺の腰に腕を回してきた。


「なんか流れで告っちまったけど…。」
『…そうだね。でも本当に私の事守ってくれるの?』

そういう穂はまだ不安が残っていてこんな顔をさせたくない、と心から思った。

「当たり前だろ。俺がお前を守る。その笑顔が好きだからな。」


そういうと穂は俺の大好きな笑顔を見せてくれた。


大丈夫、変われる。


(大川〜、今日は日直変わってな?)(…嫌だ。自分でやって。)
(はぁ〜?)(自分でやってって言ってんの!そんくらい自分でやりなよ。)
(お前、生意気だなっ!ちょっとこっちに来い!)(その誘いには…俺が行ってやるよ。)
(京介っ!)(剣城っ?なんでお前が…くそっ!)
(…ありがと。)(お前…変われたな)(うん!)
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