Present for.....

□出会いは偶然
1ページ/2ページ



守りたいけど守れないの続き!
*練習試合の鬼道くんの性格ではありません。



後悔先に立たず。


いまの俺にはまさにこの言葉が似合う。


「はぁ…。」

これで何十回目のため息だろうか。

きつい練習が終わって久しぶりの午後練が休みで鬼道達と買い物に来ているっていうのにあの日の穂の悲しそうな顔が頭から離れなくて気分は最悪だ。

「おい、お前あの試合からずっと沈んでるぞ…大丈夫か?
…まさか雷門のあの穂って奴の事を気にしてるんじゃ…?」

源田が心配そうに俺を見る。

「源田…。ありがとう。なんでもないから気にしないでくれ。」

「そうか…お前がそう言うなら…」

「あ〜もしかして佐久間先輩はその人に惚れちゃった感じですか〜?」

「黙れ、成神。空気読めよ、そして一回死ね。」

「俺の扱いひどくないですかぁっ!?」
 
成神のおかげでその場が明るくなった。
しかし鬼道の顔は真剣だ。

「…佐久間。俺たちは目的がある。総帥の為に強くなくちゃいけないんだ。それを忘れるな。」

「そんなのは俺だってわかってる…でも…」

一言、たった一言でいいから謝りたいんだ…

「ほら、佐久間先輩!元気出して!あっちにいる白いネコミミパーカーに黒いキャミで水色のミニスカ姿の可愛い女の子!めっちゃ可愛くないですかー?」

成神の差した方向に顔を傾けると

『うーん。イチゴにしようかな…?あぁ〜でも、バニラもすてがたいし…チョコも食べたいし…』

アイス屋さんの前で腕組みをしながら難しい顔をした穂がいた。

その姿を見た瞬間、俺の足は動いていて。

「おい、あの女…もしかして…?」

「噂をすればなんちゃらってやつだな。」

「へぇ…あの人が…!」

後ろで鬼道達がそんな事を言っていた気がする。

「穂っ!!」

『ふぇっ?…佐久間さん?』

あぁ、やっぱり穂だ。

そして腕を引っ張り、人がいない所で目一杯頭を下げる。

「ごめんっ!本当にごめんっ!」

『えっ!いきなりな、なんですかっ!?…あのっ、頭をあげてくださいっ!』

頭をあげるとあたふたしている穂がいた。

「この前の試合の事…怒ってないのか?」

『あぁ…あの試合の事ですか…。もう大丈夫ですっ、気にしないで下さい。』

ふにゃり、と笑う穂。
その笑顔に心が暖かくなる。
そして気がつくと鬼道達もきていた。

「久しぶりだな…あの試合、傷つけて本当にすまなかった。」

「…ゴールキーパーの源田だ。覚えてるか?」

「はじめまして、成神ですっ!よろしくお願いしますっ」

そして自己紹介をしていく3人。

『鬼道さん、源田さん、成神さん。お久しぶりです…。もう…大丈夫ですので気になさらないで下さい。改めてよろしくお願いします。』

そして握手を交わす穂達。
…俺と穂が初めて出会った時には握手してないのに…

「どうした、佐久間?眉間にシワが寄ってるぞ?」

ニヤニヤしながら聞いてくる鬼道。

「(ぶすっ)…なんでもねぇよ。…それより穂はアイス買わないのか?」

すると、あ〜!と言ってまた難しい顔に戻る穂。

その顔がとっても可愛くってつい頬が上がる。

「俺達も食べましょうよ!アイス〜」

『いいですね!ここのアイス美味しいんですよ!一緒に食べましょう!』

穂が太陽のように笑った。


そして穂と一緒にアイスを食べながら(結局穂はバニラとイチゴとチョコのトリプルを頼んだ)いろんな話しをした。サッカーの事、家族の事、学校の事などたくさん話した。




『成神さんは一年生なんですね!とっても可愛いですっ!』

「いやぁ〜、可愛いだなんて…。穂サンのほうがめっちゃくちゃ可愛いですよ〜」

『そ、そんなっ/////お、お世辞はよしてくださいっ///』

「お世辞なんかじゃないですよ〜。ネっ?佐久間先輩っ♪?」

「バカやろっ!俺に降るなっ!」

お前みたいに女の子に可愛いって言えねぇよっ!

「あれぇ〜?なぁに照れてるんですかっ!」

「成神…あとで覚えとけ…!」

「と、と、ところで…その蒼い雫のネックレス…めっちゃくちゃ綺麗だな。」

タイミング良く源田が話しを変えてくれた。…助かったぁ…

『あぁ、これは大事な友達からもらったんです。その人もサッカーやってたんですけど…。小さい頃に貰ってそのままずっと…大切にしてるんです。』

楽しそうにその友達の事を語る穂。
穂の可愛い顔が見れたのに…なんだろう、このモヤモヤは。

そしてそのままモヤモヤした気持ちは収まらず、気がつけばもう夕方になっていた。

『今日はとっても楽しかったですっ!次会う時は…フィールドですね。』

「そうだな。絶対勝ち上がって来いよ。」

『もちろんです。今度こそ負けませんからね。では。』

俺たちに背を向ける穂。

「待って…!穂っ!」


そして穂が帰ろうとした時に俺は思い切って穂のもとに走った。

『佐久間さん?どうしたんですか?』

「その…さっきの…!」

頑張れ、俺っ!

「穂はお世辞とかじゃなくて本気で可愛いと…思うぞ///
じゃ、じゃあなっ!」

そしてダッシュで鬼道達の元へ走りだす。
多分、じゃなくて確実に顔は真っ赤だと思う。

『え…///
あ、ありがとうございますっ!』

背中ごしにそう言った穂の声が聞こえた。




会えた、言えた、笑顔が見れた。




(モヤモヤは消えないけど…
今日は謝れただけでいいかな。なんだ…?この気持ちは…?)

(佐久間先輩、鈍いなぁ〜)
(絶対ライバル多いぞ…。)
(頑張れよ、佐久間っ!)



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ