Present for.....

□笑顔で繋がる。
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「おーい、ヒロト、リュウジ〜!聞いたかっ?」

お日様園の庭でリュウジとサッカーボールを蹴っていると晴矢と風介がやってきた。

「聞いたって…なにを?」

「どうしたの?晴矢?」

「明後日、お日様園に女の子が来るんだってよ!」

「一週間だけって言ってたけどね。」

晴矢はとっても笑顔で楽しみだな〜と話してて、風介は…本人は冷静を装ってるつもりかもだけど口角がわずかに上がってる。

「へぇ…。その子はサッカーやるのかな?」

「やってなくても俺らが教えてあげればいいじゃん!」

「それは名案だな。」

すると、ドタドタと玲名達がやって来る。

「なに言ってんの!女の子が来るのよ?サッカーなんてやらせないからね!」

「そうだよ〜!マキ達と遊ぶのー!」

キッと俺達を睨んでくる玲名達。

「男だろーが女だろーが関係ねぇ!サッカーは誰でも出来るんだよっ!」

そしてそれに負けじと反論する晴矢。
結局、まだ誰かもわからないその子の取り合いは瞳子姉さんが来るまで続いた。

なんだか…楽しい一週間になりそうだな…








そしてアッという間に時が過ぎ、ついにその子が来る日になった。

みんな玄関で待ち伏せしてる。
…もちろん俺もそのうちの一人。

「あっ!来た!」

ピシッとしたスーツの綺麗な男の人と女の人の後ろに白と水色を基調とした猫ネコミミフード付きワンピ姿の女の子がいる。
…だけどフードを深く被りすぎて顔が見えない。




「では、うちの娘をよろしくお願いしますね。」

「はい、喜んで。みんな、娘さんをずっと待ってます。きっと娘さんも楽しい一週間を過ごせると思いますよ。…みんな、おいで。」

その瞬間にみんなが瞳子姉さんの隣に並ぶ。

「良かったね、穂。うちの娘はとっても引っ込み思案で…。ほら穂。挨拶しなさい。」

その子のお母さんらしき人がその子の背中を押すと、いきなりだったのか対応出来ずにフードが取れてしまった。

『あ…。あわわ…!あの…大川穂です…!よろしくお願いしますっ』

フードが取れて穂という子の素顔が露わになった。

その素顔は…とっても可愛らしくて。

晴矢や風介、リュウジ、治まで顔が真っ赤になっている。

「じゃあ、よろしくお願いします。」

「じゃあね、穂。みんなと仲良くするのよ?」

すると穂のお父さんとお母さんはタクシーに乗ってどこかへ行ってしまった。

『お父さん…お母さん…!』

穂を見ると泣きそうな顔になっている。

「穂ちゃん、今からみんなが自己紹介するから。はやく覚えて一週間楽しく遊ぼうね。」

瞳子姉さんがそういうとすこし穂が笑顔になった。

その笑顔に俺の胸がドキン、と鳴ったのは…気のせいじゃないと思う。

そして、自己紹介はどんどん進んでいき、最後に俺の番になった。

「…基山ヒロト。好きなものはサッカー!一週間よろしくね。」

当たり障りのない自己紹介だったけど穂のほうを見ると天使のような笑顔を返してくれた。

「今日は俺達と遊ぶ日だ!さぁ穂、行くぜっ!」

瞳子姉さんが決めたのは一日交代制で遊ぶルール。
初日は俺達と遊ぶ日になってる。



『遊ぶって…なにで?』


「「「「「もちろん、サッカーに決まってるだろ!!」」」」」






穂と過ごした日はすごく楽しくて一週間がはやく感じられた。

穂はすぐにサッカーを好きになってくれて、すごく上達した。

一週間しか一緒にいられなかったけど、可愛くて、優しくて、思いやりのある穂に多分、ほとんどの男子が惚れていたと思う。

俺は…言うまでもなく、穂の事が好きだ。




そしてお別れの日。

「一週間、ありがとうございました。」

「お世話になりました。…穂、もう行くけどなにか言う事はあるかい?」

すると穂は目に涙を貯めながら前へ出た。

『みんな…!私、この一週間楽しかった。絶対みんなの事…忘れないからね!グスン。わ、わたし…絶対サッカー続けるからぁ!絶対どこかで会おうね…!またね…』

そして後ろを振り向こうとした時…俺の体は動いていて。

「待って!!」

『ヒロト…くん?』

「これ…おれの宝物。穂にあげるから、絶対俺達の事忘れないでね…!」

俺が渡したのは蒼い雫の形をしたネックレス。

『ありがとう…。大切に…する!』

そう言って穂はこの一週間で一番の笑顔を見せてくれた。

俺も自然に笑顔になる。


そして、穂と握手を交わして穂は帰って行った…




その笑顔、忘れない。



(ヒ、ヒロト!てめぇ、抜け駆けしやがったな!)
(え?だってそんなルールなんてなかったでしょ?)
(卑怯だぞ!)
(あはは…。こういうのリュウジ風に言えば…"先手必勝"かな?)
(あぁ〜あ、取られちゃった。)





(俺は…ずっと想ってるよ…!)

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