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□風邪が君を連れて来た
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『みごとに風邪ひいちゃたな…』

朝起きると体がダルくて
気持ち悪かった……母親に症状を訴えると
体温計を渡され熱を測ると38ちょうどだった
元々体温が低いので私にとっては高熱だ

「かぁさんもとぅさんも仕事行くけど
大丈夫?」 

『大丈夫だよ…早く行かないと遅刻するよ』

「ちゃんと家の鍵閉めてよ」

『わかったよ…』

親を見送って自分の部屋に戻って
ベッドに入って寝た


『ん…』

寝起きの意識の中
部屋の中に人の気配がすることに気づいた

『だれ…?』

「穂…お前玄関の鍵開いてたぞ」

『きょうすけ…?』

私の部屋に居たのは幼馴染み兼お隣さんの京介が居た

「食欲あるか?」

『ない…』

「でも食べろよ…体持たないだろ」

『ってか学校は』

「サボりだ…お前抜けているから不安だったからな」

『京介はサボり過ぎだと思う』

「授業受けなくても教科書あれば大体はわかるだろ」

『あんたは天才肌だからね…』

嫌味ぽく言う京介にそう言い返して
京介が作ったと思われるリゾットを渡された


『私だから食欲ないんだって』

「食え」

『嫌だ』

「食え」

『嫌だ』

約十秒ぐらいこの会話を繰り返して
先に折れたのは

『わかったよ…食べればいいんでしょ』

リゾットをいざ食べようとしたら
手元が狂って洋服に落としてしまった

「俺が食わせてやるよ」

持っていたスープンを京介にとられた

『大丈夫だってば』

「食べれなかった癖によくそんな口聞けるな」

『うっ…それは言わないでよ!!』

「病人は黙って看病されておけ」

言い出したら何を言っても聞かないから大人しく従うことにした

展開的にはいいなぁっと思う人は居るだろうが
私からしたら食欲ないのに…無理やり食わされる拷問に等しい行為だった

「最後の一口だから食べろ」

お皿にあったリゾットも少なくって
とうとう最後の一口になった

頑張って吐きそうになるのも押さえて
食べた…

『やっと食べ終わった…』

「次は薬だな」


リゾットを持ってきたトレーの上には
風邪薬が水とセットでおいてあった

『薬苦いから嫌』

「お前は餓鬼かよ」

『なんと言われても無理!!』

ハァ…とため息をつく京介
苦いし甘くないから薬は昔から嫌いだった

「薬飲んだらプリンがあるけど…」

『京介のプリンッ!!』

「どっちかだな
プリン無しでいいなら薬も無し
プリンが食べたいなら薬を飲む
のどっちかだ」

京介のプリンはそこらへんのプリンより美味しい
最近は中々食べさせて貰えないけど

『飲めばいいんでしょ!!』

「穂は昔から変わんないから
扱いやすいな」

『うさいッ!』 

「へいへい…俺冷蔵庫からプリンとってくるからちゃんと飲んでおけよ」

そう言って空っぽになった皿と
冷たくなくなったタオルをトレーにおいて一階に降りていく

京介が見てないから薬を捨てようと考えたがやめた
なぜか剣城兄弟は私が嘘が通用しない
プリンの為だと心に言い聞かせて
いっきに粉の風邪薬を水で流すように飲んだ

タイミングよ京介が冷えピタと
プリンを持ってやってきた

「飲んだか?」

『飲みましたよ
それよりプリン頂戴♪』

「風邪引いてんのに元気だな」

『京介のお陰だよ
多分京介が来なかったら今頃はお腹すかして寝ているよ』

「ハイハイ…お礼は治ってからでいいから…」

プリンを食べながら京介と世間話に花を咲かせた

『京介…』

「眠いなら無理して起きるな」

『うん…』

急に睡魔に襲われ
京介にベッドに寝かされる

『今日はありがとう…』

「わかったから寝ろ」

頭を撫でると穂は安心したのか
眠り初めた

「ったく…世話が焼けるな」

髪で隠れている穂のデコに触れるだけのキスを一つ落として

「さっさと治せよ」

俺はそう言って穂の手を握った




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*ゆーふ様からの頂き物でーす!
す、すごすぎる…!
なんという文才…!文才ありすぎて怖いよ…!
しかも「書いて!」って言ったら快く受けてくださりました…!

本当にありがとうございますっ!

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