Present for.....

□やっと恋が実った。
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「穂せんぱーい!一緒に部活行きましょう〜!」

『あ、葵ちゃん!いまいくよ〜!』

後輩の葵ちゃんが呼んでる。
フィフスセクターの事があって3年生のマネージャーは私だけ。
少し、寂しいけれど後輩の葵ちゃんや茜ちゃん、水鳥がいるからとっても楽しい!

さぁ、今日も張り切って部活に行きますかっ!


『…なんであんたが雷門にいるのよぉぉぉぉぉぉ〜!!!』

グラウンドに行くとなぜかあの男がいた。
雷門を出て行ったはずの…南沢篤志。

「おぉ!会いたかったぞ、俺の穂☆」

前髪を掻き上げながらこっちに来る篤志。

『☆をつけるな、☆を!もうキモさMAXだから!しかも私はあんたの物になった覚えはない!そして私に近寄るなぁぁぁ!』

「穂先輩っ、落ち着いて下さい!とりあえずいったん落ち着きましょう!」

私がみんなのドリンクを篤志に投げようとすると天馬からのストップがかかる。

『天馬ぁぁ?これが落ち着いてられるの?なんであいつがいるのぉぉぉぉ!』

わっつ?ほわい?
私、今日なんか悪い事した?

「フッ…。天馬。これは穂なりの照れ隠しなのさ。」

『照れてないから!なんであんたなんかに照れないといけないの?この自惚れ屋!』

月山国光に行っても性格全然変わってないんだね、この残念男が。

私はこの男が大っ嫌いだ。

いつも、自分勝手になんでも決めて行動するこの男が。
なにも言わずに出て行くこの男…大っ嫌いなのだ。

「わかってる、わかってるって。久しぶりに会えたから嬉しいんだろ?」

『もう二度と会いたくなかった。』

「ちょっ…穂先輩っ!こっちに来て下さいっ!!」

倉間くんに腕を引っ張られ雷門のみんなのところへ。

「いいんですか?穂先輩。南沢先輩にあんな態度とって?」
「そ、そ、そうですよ。仮にも南沢先輩は雷門の為に来てくれたんですから。」
「ちゅーか、これで気分悪くして帰られても困るっしょ?俺たちも、穂先輩も…?」

ニヤニヤしながら聞いてくる浜野達。

「とにかく!ここは穂先輩の我慢所です。雷門の時はめっちゃ仲良しだったじゃないですか!それにあのまま…試合の時だって結局話せなかったんですよね?」

『し、神童くん?どうして知ってるのかな?』

恐るべし、キャプテン…

「今でも名前で呼び合うほど仲がいいんですから…。まぁ、今回は西園の為だと思って我慢して下さい。」

「「「「「お願いしますっ!!」」」」」

ついにはみんなに頭を下げられた。

『わかったわかった…。なんかごめんね…私はベンチにいるから。はい、みんな頑張っておいでっ!』

するとみんなゴール前に走って行った。

そして信助のキーパー練習が始まる。

「穂さんも春だな〜。素直になったほうがいいんじゃねぇの?」
「意地っ張り、ダメ。」
「今日がチャンスですよ!」

すると、ここぞとばかりに女子3人が攻めてくる。

『はぁー…わかってるんだけどね、やっぱりさ…。うん、そうなんだよ、きっと。』

は?といった感じで私を見てくる3人。

『…私、実は篤志の事ずっと好きだったんだよね。でも、急にいなくなっちゃって…。だから気持ちがぐしゃぐしゃ…っていうか、よ…く、わから…ない…の。』

私が話し終えると茜ちゃんがハンカチをだしてくれた。

…気がつかないうちに泣いてたんだ、私。

『ありがと…茜ちゃん…』

「…いつも穂先輩にはお世話になってるから。」

優しい優しい後輩ちゃん達。



『…あいつ…南沢篤志のせいで泣くとか…バッカみたい。』

「…その言い分はひどいんじゃねぇの?」

「「「『へっ??』」」」

するとベンチで座っていた私達の(正しくは私の)隣に篤志が。

『あ、篤志っ!どこからいたの?れ、練習は?』

「山菜がハンカチ渡した所らへんから。練習は西園が剣城の化身シュート止めたから終了。ほら見てみろよ…あいつら。」

グラウンドを見ると天馬と信助が抱き合って喜んでいて周りにいるみんなが信助をベタ褒めしてた。

…よかった。あの言葉は聞かれてない。

「信助…出来たんだ!」
「みんな、いい笑顔!写真、撮らないと。」
「よっしゃ、私もいってくるか!あとは若いお二人に任せた!」

そしてニヤニヤしながら3人は走って行った。
















ベンチに長い沈黙。






「…ごめん。」

『は…?』

「ごめんって言ってんだよ!…お前になにも言わずに雷門やめて月山国光に行って…。」

そして私の腕を掴みそのまま抱き寄せる。

私は篤志の月山国光のユニホームしか見えない状態になっていて。

数分後やっといまの状況を理解出来た。

『あ、あ、あ、篤志っ?なにやってんの!』

「気付くの遅っ…。まぁ、俺もだけど…
なんつーか。お前がいなくなって初めて気がついたんだよ。俺のなかのお前の存在のデカさが。」

力強く抱きしめる篤志。
少し痛いけど…篤志の顔が真剣だから突き放そうに放せない。

「俺のなかのお前を好きっていう感情が止まらないんだ…。今度は離さない。だからこうして迎えに来た…」

そして私の体を戻して私の目を見る。

「一緒に…来てくれないか…?」

私の目の前にはいつも通りに微笑む篤志。
だけどその笑顔がなんだか不安そうに見える。

『…私は雷門にいる。みんなと革命を起こしたいんだ。…だから、一緒には行けない。』

「っ!そっか…」

『でもね、私篤志の事好きだよ!だから離れたくない。篤志と一緒が…ん!』

私の言葉は篤志によって塞がれる。
それは優しいキスだった。

「…これからは毎日連絡する。週末は遊びに行く。それで…一緒の高校に行こう。」

『…浮気禁止だからね。』

「ばぁか、お前みたいないい女がいるのに他の女なんて目に入るかよ。」

『…うん。…篤志の事、大好き!』

今度は私から篤志に抱きついた。

「…穂、好きだ。大好きだ。」

私を強く抱きしめ篤志が囁いた。



長い長い恋の結末。




((((((お疲れさまでした!))))))
(南沢さんもありがとうございました!)
(おー、いいってことよ。あっ、そうだ。)

(こいつ、俺のもんだから。手ぇだすなよ?)

ちゅっ…

(あ、あ、篤志っ!なにやってんの!)
(見せつけとなかねぇと心配になるだろ。…でも、これで安心だ。)

((((((((やっぱり結局、惚気でしたね。))))))))
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