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□触れないで
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「律っちゃんお疲れ〜」
「お疲れ様です」
時刻は20時57分、同じ編集部の
木佐さんが帰宅をした。
俺もこの調子ならいつもより早く
帰れそうだ……
そう思うと少しだけ頬が緩む。
「小野寺」
すると後ろから聞こえる俺を呼ぶ声。
「なんですか、高野さん」
「お前今日、家来いよ」
「はぁ?なに言ってるんですか…
…すいません、俺、仕事残ってるんで」
「さっさとしろよ……待ってるから」
「ふぅ…終わった……」
22時18分、漸く仕事が終わり
大きく伸びをする。
思ったより時間かかったな…
「さて、帰るか…」
もう編集部に人は残っていなかった。
エレベーターに乗り込み一階へ向かう。
チン
と軽い音がして重そうな扉が開く。
一階に人はいない。
勿論、高野さんの姿もない。
自分から待ってるって言ったくせに…
心の中で小さく悪態を吐くと
俺は会社を出た。
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