ミントン通信

□ビターチョコレート
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(これで準備オッケーだな……)
真選組屯所、監察山崎退の部屋である。
目の前には可愛くラッピングされた物が沢山机に並んでいた。
真選組は当たり前だが男所帯である。
2月14日
一部の人間を除き、この日は男ムサい屯所にとって、非常に苛立ちと悲しみにあふれる日である。
そこで山崎は、毎年みんなへの差し入れかねて、手作りチョコを隊士に配っている。
疲れた身体に糖分は実際良いものである。
山崎は最初、男からもらうなんて嫌かな、なんて思いながら遠慮がちに配っていた。
しかし意外に隊士からの反応はよく、むしろ非常に喜ばれるので毎年行っている。
この間の隊士達から、今年も期待してると声をかけられた。
そんな季節がやってきたので、先ほどまで厨房で奮闘していたのである。
小さいながらも沢山あると一苦労だ。
(……これが局長の分で……)
なかに少し大きめなチョコがある。
これは近藤用で、局長だからというのと本気でもらえなさそうなので。
隊長クラスにも少し大きめなのだが土方の分は一般隊士と同じサイズである。
土方は甘い物をあまり好まないので小さい。それでも、気持ち甘さ控え目に作っているのはちょっとした心遣いである。
そしてひとつだけ、大きさもラッピングの感じも違う凝った箱がひとつ。
ふと山崎はそれを見てひとつ溜め息をついた。
(……思わず作っちゃったけど……)
山崎がその箱に触れようとしたその時、名前を呼ばれるとともにフスマが開いた。
「おーい山崎ぃ」
「あ、沖田隊長」
愛用アイマスクを額にひっかけた沖田総悟がそこに立っていた。
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