ミントン通信

□梅雨の湿気で髪まとまらないの困るよね本当
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「いいよなー……退の髪は」
「え?」
雨降りのかぶき町。
今日仕事が休みな山崎は、万事屋に遊びに来ていた。
新八は夏のお通コンサートの打ち合わせで出てしまい、神楽も友達の所へ遊びに行ってしまった。
丁度暇をしていた銀時には本当絶好のタイミングであった。
山崎も珍しく、人目をはばからず一緒にいられるので、銀時にひざを貸している状況である。
見上げる銀時がふと山崎の髪を見てつぶやいたのが先ほどの言葉である。
「黒髪でまっすぐでさぁ」
「オレだってたまには跳ねるしうねりますよ?」
今日の山崎は、長めの髪を後ろでひとつに束ねている。
「いやいや退君。そんなもんオレの髪の毛と比べたら、対したことないっつーか、真っ直ぐとおなじだよ!ほれ見ろ、この髪っ」
そう言って銀時は自分の銀髪を指に絡めた。
確かに銀時の髪は普段よりも若干巻いているようには見える。
少し拗ねた顔をしている銀時に山崎は苦笑した。
「でもオレ、銀時さんの髪、好きですよ?」
「こんな天パでも?」
「むしろオレみたいに普通の黒髪よりも、銀髪が綺麗だし」
すると一瞬銀時は驚いたような顔をして、すぐに微笑した。
「全く、今日の退はやけに素直だな」
「えっ?そう、ですか?」
山崎としてはいつも通りに話しているつもりである。
「だってよ、銀さんの事、好きだの綺麗だの」
「なっ!」
山崎の顔がみるみる赤くなる。
「ちがっ!そういうんじゃなくて、オレは銀時さんの髪のぉ〜っ」
「でもよ、つまりオレの事だろ?」
「っ!」
何故だか山崎はそう言う事は素直じゃなかったりする。
そんな山崎をからかうのが銀時は楽しくて仕方ない。
そしてそんなところも
「本当かわいいな、退は」
「〜っ!銀時さんっ!」
「ん?」
ニコッと銀時は笑っている。
ダメだ、銀時にはかなわない。
惚れた弱みもあるかも知れないが、どうにも勝てない。
山崎は半ばあきらめたように赤い顔のまま、膝にのる銀時の髪をなでながら答える。
「ええ……好きですよ……」
「――えっ!?」
今度は銀時が固まった。
まさかあっさり言われるなんて思っていなかった。
「……退、マジで?ああっ心の準備してなかった〜っ!」
山崎はそんな銀時をみてニヤリと笑った。いつも余裕な銀時をたまにはこうやってうろたえさせたい。
「くっそ〜っ!退っ」
「はい?」
「もう一回、言って?」
「……嫌ですよ」
「えーっ!いいじゃんか〜」
「嫌ですっ」
こうなると退は絶対に言わない。
「……ま、いいか。別に聞かなくても分かってるしぃー」
「さあ、どうでしょうね」
「!っさーがーるー、いつの間にそんな生意気な口きくようになったんだっ」
「いつも通りですよ」
「ったく、この口かっ!」
そう言うと銀時は指で山崎の口をつまむ。
「んぐっ!」
山崎はあわてるが、そんな姿をみて銀時はニヤリと笑った。
抗議の声を上げようとしたその時、指を離された。
「ちょっ……」
そのまま引き寄せられ、キスを交わす。
「……ん」
「……」
一度軽く離れると、再び今度は深く長く口づけを交わす。
「んっ……ふっ……」
久しぶりのキスは甘く深く、山崎が上な事もあり、珍しく積極的に舌を絡ませるが、結局は銀時にはかなわない。
「ふぁっ……」
唇を離す時には既に山崎の腰はくだけて力が入らず、顔を赤くしてくたっとうなだれた。
銀時は手を伸ばし、そっと山崎の頬に触れた。
「……退……」
「っ」
かなり山崎の身体が熱くなっている。
銀時はゆっくりと起き上がり、うつむく退の前髪をそっとかきあげた。
「ほら、顔見せて」
「あっ……」
山崎は恥ずかしくて顔を上げ辛い。今の自分の顔はきっと、素直な感情を出してしまっている。
隠密なんて職業をしているのに隠せない。
銀時は騙せない。
今の自分はきっと、銀時が欲しくてたまらない顔をしているであろう。
恐る恐る顔を上げると、眼前には優しい表情をした銀時がそこにいた。
自然に山崎からキスをした。
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