短編小説
□拍手ログ
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*何よりも甘い
「……何よりも甘いものあげる」
あいつがちょこっと頬を紅くして上目遣いでオレに言った。
んなこと言われたら……期待しちゃうじゃないか。
「目、閉じてくれる?」
そう言われて、オレは黙って目を閉じた。
しばらく待っていると、何か柔らかいものが一瞬唇に触れて……。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ甘ッ!!!?」
口の中に広がる、ただ甘いだけの……不自然で濃厚な甘さ。
こ、この甘さはもう甘いと言っていいのか……。
当社比200倍の驚きの甘さ……ドラゴ○ボールも吃驚だ。
「だから言ったでしょ?何よりも甘いものあげるって」
あいつはニッコリ……というか悪戯が成功した後の悪ガキのような表情をしていた。
「な、なんですかコレは?」
「よくぞ、訊いてくれました。世界一甘い物質です」
相変わらず笑顔なあいつ……。
「こういう場面ってさ、こう、何よりも甘いって……あっちの方想像するじゃん?」
キスと言うのが恥ずかしかったので、何となく誤摩化してオレは言った。
情けない……。
しかし相変わらずあいつはニッコリ。
「だって、でなきゃオチがないじゃん?」
「別にオレは笑い求めてネェよ!!!」
嗚呼、我が人生にシリアスという言葉はなし。
ちゃんちゃん。