名古屋編小説

□名古屋名物って多いですよね
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「くっそ!何なんだあいつら!!」
男は思わずそう吐き捨てると、必死で路地へと身を隠す。
ここは静かな倉庫街。時間は午前1時を回っていた。
仲間はどうなったか判らない。まさかあの隠れ家が見つかるとは思わなかった。まさに想定外の事である。絶対に見つかるはずがないと確信していた。
なぜならそこは、普通の人間なら気づくはずのない結界が張ってあったからだ。術を見破った、それはつまりあいつらはそういう類いの人間なのか。
とりあえず追っていた気配がなくなった。どうやら相手は見失ったらしい。もしかして仲間は捕まったかもしれないが、目的のもの自体はここにある。これがあれば問題無い。もうすぐ港だ。このまま海へ出て、海外逃亡すればいい。いつものことだ。
そう思い、路地を出ようとした瞬間。
「はぁーい。鬼ごっこはここまでよん」
気づかなかった。細い路地の出口に一人の男が立っている。シルエットではあるが、手には長い得物をもっているように見える。間違えない。こいつが事務所に乗り込んで来たやつだ。舌打ちをし、反対側から逃げようときびすを返す。
「……往生際が悪いな……」
いつの間にか後ろ側の出口にも男が立っていた。
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