女神の夢
□過去
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「ギア…」
『なぁに?』
「ぅわ!!驚かすなよ…」
『呼ばれたから現れただけじゃない。』
「呼んでないぞ。」
『…もういい。』
庭の前で物の怪のとなりに座るギア。
その行動をなんと思ったのか、物の怪はなんの反応も示さない。
ギアは物の怪を自分の膝に乗せ、背中を撫でる。
物の怪は撫でられて気持ち良さそうにめを瞑る。
『ねぇ騰蛇…』
「ん?」
『私さ…なんか忘れてるのかな…』
「…」
物の怪は少しだけ夕焼け色の目を開けた。
そしてギアを見上げると、彼女は遠くを見つめていた。
物の怪にはその答えがわかっていた。
けど、彼の口からは答えることができなかった。
否、答えるのが怖かったのだ。
「さぁな。」
『素っ気ないよ、騰蛇。』
再び目を瞑る物の怪を見てギアは苦笑いを零す。