女神の夢
□貴船
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「だったら、うちに住みなよ!!」
「それはいう考えじゃのぅ」
『…狸め…』
恐らくこうなることを予想して昌浩を呼び、女性であることを暴露したのだろう。
別にギアにとってはどうでもいいことなのだが、お礼をするのが面倒という事が生じる。
『なにを礼にすればいいんだ?』
「…そう大した事じゃない。昌浩の護衛をして欲しいのじゃよ。」
『この俺が子守ねぇ…っま、退屈凌ぎにはなるんじゃねぇのか?』
ニィっと笑うギアに寒気を覚える十二神将・太陰。
彼女は玄武と共に隠形して晴明の後ろにいたのだ。
その様子を知ってか知らぬか、ギアは晴明を見て口を開いた。
『できる限りは手伝ってやる。だが、俺にも掟があるからな。』
「承知の上じゃ。よかったな、家族が増えて。」
晴明はギアの言葉を聞いて頷くと、昌浩に向かっていった。
すると、昌浩は自分に話が降られるのを思いもしなかったのかあたふたする。
そして、ギアと目をあわせる。
「よろしく…お願いします。」
『じゃあ俺は姉か?妹か?』
「見た目は妹だな。」
黙っていた物の怪が口を開く。
いまのギアはどう見ても昌浩より年下だ。