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□エリザベート〜トート・ルドルフ編〜
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その悲劇の皇太子・ルドルフが誕生した。
彼はこの世に生を受けたその日から、全ての運命が決まっていた。
「まぁ!なんて可愛い男の子でしょう!!」
「きっと聡明な王になるに違いない!!!」
彼を見た誰もが、そう口ぐちに言った。
そう…彼はオーストリア皇帝・フランツ・ヨーゼフの後継者として、周りからの多大な期待を一身に背負うことになるのだった。
それは、まだ幼い彼にはあまりにも大きすぎる期待だった…。

産まれて間もなく、母・エリザベートと引き離され、祖母であるゾフィーにより育てられることになる。
その祖母が連れて来た教育係は、幼い彼にとって辛いことばかりを強いる恐怖の対象でしかなかった…。
およそ皇太子としての扱いとは思えない仕打ちのような教育の数々だった。
鞭打ち、冷水シャワー、軍事訓練のような過酷過ぎる運動など…耐えがたいものばかりだったのだ。
「全ては、皇太子貴方の為なのです」
教育係はルドルフが何かを訴える度に、無表情で彼の腕を掴み、何度も何度も鞭でその小さな体を叩いた…。

「おばあ様…ぼくは…ぼくは…母様のところへ行きたいです…」

辛い日々から逃れたくて…優しいであろう母の腕に甘えたくて…度々ゾフィーに訴えた…が…。
「貴方はいずれ、この国の王になるのです。強い王にならなくてはいけないのです。いつまで泣いているつもりですか?これは貴方の母親も望んでいることです。しっかりなさい!!弱い王など誰も認めたりはしません!!!勿論、貴方の母親もです」
ゾフィーは冷たい表情でルドルフを見下ろし…そう言うだけだった。
そう言われる度に彼の心は深く傷ついた…。

母・エリザベートは「自由」を何より愛する人。
何者にも縛られない生き方を望んでいる。
貴族としての規律や誇りなどよりも、外の世界に触れること、多くのことを経験することの方が彼女にとっては価値のある事だった。
今まさに、彼女の嫌っている「貴族」としての生活を強いられ、そこから抜け出せない自分は…母にとっては「愛する価値のない」存在なのだと…彼の心は悲しみに支配されつつあった…。
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