☆小説☆
□ひばやまひばれんたいん
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*山ヒバっぽいヒバ山予定の作品です。2人は付き合ってません。
山本side
今俺は応接室の前にいる。
さっき草壁さんが出てったのを確認したから、部屋には雲雀1人だ。
俺の手に握られてるのは、チョコレートだ。
なんって言ったって、今日はバレンタイン!
四角の赤い箱に、白の水玉模様が描かれてて、それにリボンを結んである。
なんて、ラッピングも俺なりに頑張ってみたけど、やっぱり女子みたいには可愛くできなかった。
けど、世の中気持ちだよな。
愛情はその辺の女子に負けてないはずだ!
ふうと深呼吸をする。
そして、気合いをいれた俺は応接室の扉に手をかけた。
「ヒバリーっ!」
声をかけるとあきらか不機嫌そうな顔でこちらを見る。
そんなこと気にせずにヒバリの座ってる机の前に立つ。
もちろん、ここまでの過程で、ヒバリにチョコレートを見られないように駆使して、今ここにいる。
はい。と両手でチョコレートを突き出す。
「何これ。」
「チョコレートに決まってんだろ?」
ヒバリは『へぇ』と言い、差し出されたそれを受け取った。
やった!もらってくれなかったらどうしようかと思ってたから………本当によかった。
「もらってくれてありが……」
「没収ね。」
「ってえぇっ?!」
「君良い度胸してるね。風紀委員長である僕にわざわざ不要物を持ってきたと報告しにくるなんて。」
ヒバリは、俺から受け取ったチョコレートを、ヒバリの足元にあったダンボールの中に放り投げた。
そのダンボールには多分回収したのであろうチョコレートが沢山放り込まれていた。
俺がヒバリのためを思って作ってきたのに、その辺のチョコレートと一緒に放り込まれているのを見て、やっぱり穏やかではいられなかった。
……けど、怒るってよりかは悲しくて。
俺のチョコなんてどうでもいいんだって。
俺はしばらく固まっていた。
そして、ようやく口を開くことができた。
「………バリ。」
「ん?」
「ヒバリ。ごめんな。」
「えっ?」
「いや……。迷惑だったろ?それに、なんていうんだ……その…フヨウブツを持ってきて。」
俺の声がだんだん小さくなっていく。
やっぱり、自分で一生懸命作ってきた物を“不要物”というのはやっぱり辛い。
自分の言葉が自分の胸を突き刺す。
正直それからのことは覚えていない。
気づいたら家に帰ってた。
渡したのは確か昼休みのはず。
多分授業も受けたし、部活も参加したのだろう。
俺が思っている以上にショックを受けてたんだと思う。
はぁーあ、と伸びをして床に寝ころんだ。
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