☆小説☆

□雨の降る夜に
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それは聞き慣れたガキの声。


「う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛い。どうした。何のようだ。小僧。」

「スクアーロを探してたんだ。」

「なっ?」


俺が振り返ると傘もささずにびしょ濡れになっている小僧の姿があった。


「今日、スクアーロ、誕生日だろ?俺スクアーロのこと祝いたくてさ!今日日本に来ているの知ってたし、直接いいたくて。そしたら、いつの間にか雨降っちまってたんだな!」

『そりゃ寒いわけだ』と笑いながら体をガクブルさせる。

───……ったく。てめぇは馬鹿かっ。


俺は黙って小僧のほうに近づく。
小僧の頭にはクエスチョンマークが浮かんでいる。
そんなの構わずに、小僧の目の前までついた。
そして、いきなり小僧の冷たい体を抱きしめた。
小僧の体がビクッと揺れる。


「ス……ク…アー…ロ?」

「…………じゃねぇか。」

「ん?」

「嬉しいじゃねぇか。って言ってんだ。俺は大好きなお前にそんな事されて……。もう、死んじまってもいいくらいだ。」

「死んじゃだめなのな!」

「死なねぇよ!物のたとえだ。お前を残して死ねるか!」

「………ありがとな!」

「ありがとうはこっちのせりふだ!」


山本は顔を上げ、『そーだ』といってカバンをあさた。
そして、『はい』と何かを俺の胸に押しつけた。
よく見てみると青色の紙でラッピングされているプレゼントだった。


「あけていいのか?」

「だめ!」

「何でだ!」

「……だって……恥ずかしいからさっ……」


山本は、ちょっと顔を赤く染めてぷいっと斜め下に視点をあわせた。

あーもーっ!こんちきしょーがっ!!

「てめぇはかわいすぎんだ!」

「なことないって!おっきいし……」

「はっ。お前なんて俺から見ればチビだっ!」

「なっ!酷くねっ!スクアーロ。」

「そんなガキはもう帰る時間だ。」

「えーっ!まだ、スクアーロと話してたいのな!」

「お前の父親も心配してるだろ。」

「あっ。親父になんもいってねーや……」

「一緒に帰るぞ。」

「一緒……ってことは送ってくれるのか!」

「しゃーなしだ。」

「ありがとな!」


そういって俺らは、大きめの傘の下2人並んで帰ったとさ。

めでたしめでたし?





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