☆小説☆

□ひばやまひばれんたいん
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雲雀side


昼休み。

今日も何時も通り草壁からの定期報告を聞く。


今日はバレンタインデーらしい。
バレンタインデーってのが何かはもちろん知っている。
ちゃんと知っているからこそ思うのが、何故チョコレートを渡すのかということだ。
諸説はいろいろあるが、別に元々チョコレートを渡す日じゃない。
むしろ、誰が考えたんだって話だ。

それに便乗するかのように、学校にチョコレートを持ってくるやつは馬鹿だとも思った。

そんなことがないように、昨日それぞれの担任に注意するよう伝達したが、そんなの聞いてなかったのか、無視したのか。
今、僕の足元には沢山のチョコの山。
これらは今日だけで集まった不要物、チョコレートだ。


はぁ。と溜め息が出る。

するとガチャリと扉があく。

何?今機嫌悪いんだけど。

中に入ってきたのは山本武だった。
彼はよくこの応接室に遊びに来る。
そんなの僕が許す訳ない……はずなのに、何故か追い出せない。
最近では、部屋に来なかったら心配になってくるほどだ。

山本が僕の机の前に立つ。
なんだか、何時もと様子が違う。
………可愛いと思ったのは多分気のせいだ。

山本が突き出したそれは足元のによく似ている。
けど、どこか不器用で、でも綺麗にできている。
矛盾したことをいっているのは分かってるけど。


「何これ。」

「チョコレートに決まってんだろ?」

「へぇ。」


僕は差し出されたそれを受け取った。
こいつもチョコを渡す馬鹿の1人か。
そう思う反面何故か胸がドキドキした。
そんな自分にムカついた。
………だから。


「もらってくれてありが……」

「没収ね。」


当たり前のことだ。
現に今僕の足元にも没収したチョコが山ほどあるんだ。
お菓子を持ってくることは校則に違反している。
僕は彼のほうを睨んで言葉を続ける。


「君良い度胸してるね。風紀委員長である僕にわざわざ不要物を持ってきたと報告しにくるなんて。」


僕は没収したチョコレートを、足元にあるダンボールの中に放り投げた。
そして、顔をあげる。


しまったと思った。


前の彼は怒りと寂しさの混ざったぐちゃぐちゃな顔をしていた。
僕はそんな顔嫌いだった。
いつもみたいに笑って欲しい………なんて。
ああ。こんなの僕じゃない。
けど………悪くない。
そんな風に思ってしまえるほど。

ただ、現実はチョコレートのように甘くはなくて。


「………バリ。」

「ん?」

「ヒバリ。ごめんな。」

「えっ?」


何で君が謝る?いや、当然だ。
彼は校則をやぶった。

けど、君をそんな顔にさせたのは僕で……。


「いや……。迷惑だったろ?それに、なんていうんだ……その…フヨウブツを持ってきて。」


山本の声がだんだん小さくなっていく。


「じゃ、ヒバリ。俺はこれで。」


それだけ言って出て行ってしまった。


止めたかった。

………なんで?

咬み殺してないから。
いや、それじゃない。

いつもは馬鹿みたいな顔(いや、顔どころか頭まで馬鹿だけど)でまた明日くるとか、放課後くるとか言ってくのに。
もう来ないってことなのだろうか。


急に苦しくなった胸を手で押さえながら、僕は彼がくれたチョコレートをしばらく眺めていた。




****************


あとがき。
というなかがき?

多分続き書きます。
取りあえずここまで。


さて、これは山ヒバなのでしょうか?ヒバ山なのでしょうか?

なんか山ヒバっぽいなー。けど、ヒバ山にする予定だったのになー。


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