私が命を捧げる者。
□”あの傷”
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私には深い傷があった。私と三成様しか知らない傷が…。
「唯…」
ふと、その名を口にする。髪を縛っている赤色の紐を外した。これを見る度思い浮かぶ…
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「雪菜、早く早く!」
「ちょっと待ってよ!」
今日も忍の里を抜け出して遊びに出かけた。私と唯は小さい頃から仲が良くて、よく2人で悪戯したようなものだ。訓練はサボるし、忍の里を無断で抜け出したり。
まぁそのたびに見つかって怒られたけどね。
「冷たいー!ほれ、雪菜も入んなよ。」
「えー…私風邪引くのだけはごめんだわ。」
ここは私達のお気に入りの川。小さい頃からここで遊んでいた。んでよく流された。
「冷たっ…!でも気持ちいかも。」
「でしょー?あ、鮎だぁ!」
「鮎!?唯!捕まえて食べようよ!」
「よっしゃ、任せろ!おりゃーーー!」
「…唯、釣り竿あるけど。」
「要らない!女は手づかみ勝負!」
…何分経っただろうか。まだ一匹も穫れてない。唯は鮎を追いかけて、手づかみ勝負してる。一向私はのんびりと釣りをしていたが、当たりは無い。