おもちゃ箱

□紅色の世界で
1ページ/4ページ



「……ッハァ…ハァ…っ…」


私の吐息が響く程静かな世界。
一面が"紅"一色。
何度嗅いでも慣れない、嗚咽を招く血生臭さ。
ゴリ…ゴリ…と死体を踏む音。

ここはもう関ヶ原の世界なんかじゃない。ただの地獄だ。

歩いても、歩いても、此処から脱け出せない。


「み…三成様……ッ」


その声も虚しく"紅"に呑み込まれる。主を求め、足を進めた。


「生きていて……生きていて…」


呪文のように何度も呟く。仲間の死体を横目に、"紅"の世界を走った。








次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ