おもちゃ箱

□2、4、6で恋。
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学校が終わり、夕暮れの帰り道を歩きながら、


「もうすぐバレンタインかー…」


と、話題を作るように呟けば、


「そうだなー、あ、もちろん俺にもチョコくれるんだよな?」


と左近が返してくる。


「えー、まぁ…友チョコぐらいならあげるけど。」

「友チョコかよー…俺本命が欲しいんだけど。」

「心配しなくても大丈夫、左近はモテるから本命いっぱい貰うよ。」

「じゃなくて、アンタからの本命が欲しいんだって!」

「はいはい、冗談はやめましょうねー。」


軽く流すようにそう言うと、「うー…」といじけるように唸り始めた。

…そう言う左近が、私に本気で恋愛感情を持ってるなんてありえない。今こうやって二人で帰ってるのも、ただの友達としてだ。別に付き合ってるとかそんなんじゃない。ただ家が近く、何かと気が合い、友達として大好きなだけである。それに…


「ていうか、私はちゃんと本命やる人決まってるんだからね。」

「知ってるっつーの。あの超モテモテの2組の伊達だろ?」

「そうそう!まぁずっと相談してるから分かるよねー。」


そう、私は何かと左近に恋愛相談していた。「伊達君って彼女いるのかな?」とか「伊達君って何が好きなのかな?」とか、本当にどうでもいいことである。だがそんな相談に乗ってくれる左近の優しさにはとても感謝している。


「で、告白はいつすんの?」

「んー…チョコやるときにしようかなー…って思ってるんだけど、そんな勇気ないし…」

「大丈夫だよ!アンタすげぇ可愛いから、いけるって!」

「お、お世辞はやめてよ!!そんなの言われると無駄に意識するから…」

「ん?何なに、意識するって…俺のこと?」

「違うわ!!」


速攻にツッコミをいれる。私が左近に恋?ありえないありえない!


…と、思っていた私だが…まさか本当に左近を意識し始めるとは、この時の自分は知る余地もなかった。

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