夜叉と結界師
□第6話 何処から?(前編)
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暗い夜道を歩く良守達。
会話も途切れてしまい、ただ無言で歩いていた。
が、ふと良守の頭に疑問が湧いてくる。
今の今まで当たり前のように銀時に接していた良守であったが、ここにきてやっとその疑問が出てきたのだが。
それは
銀時が一体何処からやってきたのか。
本当に今更なことである。
それこそツッコミ芸人がいたら必ずツッコまれそうなタイミング。
思えば銀時はおかしなことだらけだ。
まずその服装。
妖でもないのに何故か着流し。
なのに中はどういうわけか全く世界観の合わなさすぎるインナーが見えるのだ。
例えるなら和食と洋食がセットで出てくるのと同じである。
あれ?これおかしくね?なんでこんな合わせ技なの?狙ってんのかこれは?みたいな感じだ。
そして腰にはおそらく洞爺湖と読むであろう文字が彫られた木刀が。
これも絶対におかしい。現代社会において。
こんなのぶらさげてたら警察に捕まること確定だ。
謎だらけだ。
なんかもう、銀時の存在そのものが謎の塊みたいなもんである。
何処から来たんだろう、この人は。
てゆーか何しに来たんだろう、この人は。
そして良守は気付かなかった。
慣れない考えごとに集中するあまり、銀時の事を瞬きもせずに見つめていたことを。
勿論、銀時と斑尾もその様子に気が付いている。
そして小声で話しあっていた。
「何?おたくの息子さんさっきから俺の事ずっと見てんすけど!怖い!怖いよ最早!」
銀時が口に手を当てて斑尾に囁く。
「知らないよ!大体良守はあたしの息子なんかじゃないし、そもそもなんであんたはあたしの事が見えているわけ?」
斑尾が小声で囁き返す。
…というか、斑尾の言うとおりである。
さっきからごく当たり前のように斑尾に話しかけている銀時であるが、斑尾は常人には見えない筈。それなのに何故この男は見えているのだろうか。
すると銀時は困ったように眉をハの字にした。
「んなの俺が聞きてーよ。なんで俺はスタンドが見えるんだろうなー…。まあそれが発覚したのはあのスタンド温泉のせいなんだけどもよ、あそこの旅館のおかげで俺はお前を見てもビビんなくなったわけだからね。ある意味感謝だわ」
「スタンド温泉?なんだいそりゃ」
「あ、わりーわりー。こっちの話」
うんうんと頷きつつ記憶の旅へと頭をフライトさせかけたのをなんとか現実に引き戻しながら言う銀時。
斑尾は意味が分からず、首をカクン、と曲げる。
「なあ銀さん」
と、ここで危うく存在を忘れかけていた良守が銀時に話しかけてきた。
ちなみに、良守が銀時の事を銀さんと呼ぶようになったのは特に理由はない。
「んあ?なんだ?ヨッスィー」
「いつまで引っ張るつもりだよそのネタ」
銀時の軽いボケに軽くツッコむ良守。
「まあいいや。それよりオレ、アンタに聞きたいことがあんだけど…」
「聞きたいこと?」
「銀さんって、何処から来たんだ?」