夜叉と結界師

□第10話 お母さん?
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「……ろ…良守…」



誰かが自分の名前を呼んでる。

低くて気だるげな声…。



「起きろ…良守……起きろっつってんだろーがァァァァァ!!」











スパァァン!!










「ってぇ!!」



「何回言えばいいんだ!起きろっつてんだろ?」



頭に何かの衝撃がきた。

多分はたかれた衝撃。



「朝からなんでこんなバイオレンスな起こされ方されなきゃいけねーんだ!?」



「すぐに目が覚めんだろ」



「ホント覚めたわ!ていうかなんで銀さんが俺を起こしにきたんだ?父さんは?」



「だから、そのお父さんから頼まれたんだよ。なんか今日からどっか出かけるから当分家のことよろしくって」



「はあ?」



「聞いてなかったのか?」



「俺はなんにも聞いてねーぞ?」



「んじゃ急だったみてーだな。おら、さっさと起きろ」



そう言って立ち上がり、良守の結界から出て行く銀時。

対じじい用の結界だから勿論銀時も出入り可能なのだ。



「アレ?そういやー繁じいは?」



「あ?あのじーさんならなんか年寄りの集まりかなんかで朝っぱらから出てるぜ」



「ふーん…」



良守が結界を解く。

と、同時に匂ってきたのはいい匂い。



朝飯の匂いなのだろうか、物凄く食欲をそそる匂いだ。



「あれ…この匂い…」



「朝飯もうできてんぞ」



「銀さんが作ったの?」



「そーだよ」



「…料理できたんだ」



「喧嘩売ってる?」



なんてくだらない話をしつつ居間へと移動する2人。



「おお〜〜」



と、襖を開けたとたん良守は声を上げた。




机に並べられているのはまさに朝ごはんにふさわしいもの。



白米に味噌汁、卵焼きに魚の塩焼きなど…。


純和風のものばかり。



「これ全部銀さんが?」



「すげーだろ」



「これは素直にすごいって言えるわ」



「素直にってどーゆーこと?」



「まあまあ。よーし、んじゃ早速いただきまーす!」



「…ったく、がっつくんじゃねーぞ」



なんかお母さんみたいだと良守は密かに思ったのだった。
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