夜叉と結界師

□第12話 …怖い?
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「ただいまー」



そう言って家に入る良守。


今日の学校生活もいたってなんの変化もなかった。

普通に昼寝をして飯食って昼寝して昼寝をして…って、俺今日寝てばっかじゃん。

まあそれは置いといて、とにかく平凡だったということだ。



「おけーりー」



という気だるげな声が奥の方から聞こえてきた。

多分居間にいるのだろうと予想する良守。


さっさと自室に戻り、素早く着替える。



さて…時音に言われたこと、やっぱ伝えなきゃ駄目だろーな…。

ため息をつく良守。


時音に朝言われたこと。

それは今晩、銀時を烏森に連れてこいというもの。

無理にでも、それこそ念糸を使ってでも連れて来いという半ば脅迫に近い頼みである。



「どした?ため息なんかついちゃって…悩み事かなんかあんのか?」



と、銀時が良守の部屋の襖を開けて入ってきた。

片手にはせんべい。

ということはまた無心でせんべいでも貪っていたのだろうか。


ていうか悩み事ってあんたのことなんですけど。



「いやさー…時音に一つ頼まれちゃって…」



「時音ってーとあのおっかねえ姉ちゃん?」



「うん、そうなんだけど…」



「で、何頼まれたんだ?」



バリバリとせんべい食いつつ聞く銀時。



「あー…じゃあ単刀直入に言うけど、今日の夜俺と烏森来てほしいんだよ」



「却下で」



「即答!?」



「だって夜なんだろー俺眠ぃし」



「今寝る」



「夕飯の支度あるし」



「食う位の時間ある」



「風呂入んなきゃいけねーし」



「着替えあんの?」



「…大体、子供が夜中にうろつくもんじゃありません!」



「いや俺それが仕事だし」



「マジでか」



「てか銀さんさっきからなんなの?なんでそんなに烏森行きたくないわけ?」



「いや…別に行きたくねーわけじゃねーけど…」



「ならいいじゃん」



「よくない。すこぶるよくない」



「はあ?」



「なあ、昼じゃダメなわけ?」



「昼に妖なんて出ねーよ」



「ちっ」



「あ、分かった。銀さん夜が怖いんだ」



図星とでもいわんばかりに肩を動かす銀時。



「ちげーよ!!断じて違う!!」



「図星なんだろ。分かりやすいよ」



「〜〜〜〜っ」



言い返す言葉なし。



「行きたくねえ」



「はあ…銀さんって戦闘強いほう?」



良守が話を変える。



「は?そりゃちょいとは…」



「そうか。じゃあいいや」



「?どーゆー意味で…」



「別に。んじゃ銀さん夕飯の支度よろしくな」



そう言って自室から追い出すように銀時の背を押す良守。


銀時はされるがまま追い出され、ただ呆然とその場に立っていた。



「なんだ?あいつ…」



暫くその原因を考えていたが、すぐに考えることをやめて台所へと向かった。

夕飯の支度のためである。



一方、銀時を追いだした良守は深いため息を再びついた。



「はあ…こりゃ念糸使用決定だな」



呟いた良守であった。
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