夜叉と結界師

□第17話 嘘…
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「滅!!」



そう叫んだのは良守。

結界の中にいた妖は跡形もなく滅された。


が、良守は今そんなことどうでもよかった。

それよりも、だ。

今気になることがもう一つあった。


それは敵の数である。

斑尾はさっき、今日は量が多いと言ったはずだ。

だが今さっき倒した奴を入れても多いとは言い切れない。

むしろ昨日より少ないほうだ。


最初は確かにわんさか妖が襲ってきた。

しかし、途中から減少。

あれ?なんて思う位減少したのだ。

初めのほうの勢いはなんだったのだ?



「なあ斑尾…」



「なんだい?」



「お前さっき今日は量が多いっつったよな?」



「ああ、言ったね」



「これ全然多くねーじゃねーか。むしろ少ない」



「それはあたしもおんなじだよ。さっきまで大量だったんだけどねえ…」



「何があったんだろ」



良守が顎に手を当て、考える。



「でも、さっきから不審に思うことが一つあるんだよねぇ」



と、斑尾が聞き捨てならないことを呟いた。



「は?おま、それなんで初めに言わなかったんだよ!」



「悪かったよ!アンタなら気付くと思ったからさ…鼻で」



「俺はおめーみてえに化け犬じゃねーから分かんねーよ!!」



「それもそうだねえ」



「で!?その不審に思うことってのはなんなんだよ?」



良守が話の路線を戻す。



「落ち着きなって。それがさっきから妖達の匂い、徐々に減ってるんだけど…その中にあの銀髪男の匂いが混じってる気がしてならないんだよ」



「ぎ、銀髪頭の匂いって…それ銀さんのことじゃねーか!!」



「そうだよ。死んだ魚みたいな目した男。あの男甘い匂いがするからすぐ分かるよ」



斑尾が言う。

だがその言葉は良守の耳には入っていないようだ。


良守は頭の中を整理していた。

待て待て、妖達の中に銀時がいるんならなんでってなるだろ?

大体、銀時置いてきてたの忘れてた。

どうなってんだ?



「あーもう!!俺に考えごとなんざ似合わねえ!!直接出向いて行ってやる!」



良守は頭をぐしゃぐしゃ掻きながら叫ぶと、すぐさま走り去って行った。



「出向くったって…あの子場所分かってんのかねえ?」



斑尾は呟くと、主人のあとを追いかけた。

























良守は適当なところで足を止めた。

何故なら強い異臭が辺りを包んでいたから。

思わず袖で鼻を覆った。



「なんだ…?」



異臭のもとを辿ってみる。

このまま朝を迎えでもしたら大騒ぎだ。


嫌ではあるが、放っておけない。



近づく度に異臭は強くなる。










そしてその異臭のもとについた。











と同時に息をのむ。









そこはまさに地獄絵に等しいように思えた。
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