夜叉と結界師

□第19話 背中合わせて
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良守はただ銀時の背を見つめることしか出来なかった。



だが、それもすぐに遮られた。








何故なら巨大な妖が現れたから。









「!!」



「来たな…」



銀時も驚いて後ろを向く。

巨大な妖は良守の後ろからあらわれたのだから。



妖はゆう15メートルを超えていた。

鬼の妖らしく、頭に歪んだ形をした角が2本生えている。


目は真っ赤な血の色で、体が不気味な紫色をしていた。



あれくらいなら結界で囲めそうだけどそっから滅せるかどうかだな…。



良守が頭の中で慣れない考えごとをする。






ぐおオオオオオオオオオオオオオオ!!!






鬼の妖は力の限り叫んだ。

耳をつんざくほどの音量に思わず耳を塞ぎたくなる。


だが良守は耳を塞がず、身構え鬼を倒す準備をした。



あれくらいなら結界で囲めそうだけどそっから滅せるかどうかだな…。



良守が頭の中で慣れない考えごとをする。



「オイ、良守」



が、その考えごとはすぐに中断された。

銀時が呼んだからだ。



「え、何?」



「あれ、倒せそうか?」



「あ…微妙…かも」



言いにくそうに良守が言う。



「だろうな…」



「え?」



「良守。お前俺の補助しろ」



「補助?」



「ああ。俺はアレを倒せるにゃ倒せる。だけど一人じゃ大怪我しちまう。俺は平気だけど、お前俺が大怪我したら治療費が大変だろ?」



「あ、確かに…」



「だから、俺の補助しろ。俺が奴の体真っ二つにする」



銀時が木刀を構える。

良守はすぐに意味を理解した。



「要するに、銀さんをあの妖の真上まで持ってきゃいいってことなんだろ?」



「まあ簡単にいえばな。それだけじゃねーけど」



「分かってる」



良守が指を構え、戦闘モードに入る。

銀時は良守のそばまで歩いてくると木刀を肩に乗せ、良守と背中合わせになった。



「じゃあ頼みますよ、専門家さん」



「任せろ!」



そう言うと2人はほぼ同時に走りだした。
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