夜叉と結界師

□第20話 息合わせて
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良守は正直驚いた。


銀時のその身体能力に。



走り出したかと思いきや、もう前方にいたのだ。

目を見張る速さ。

が、そう悠長に考えている暇もないのは良守も重々承知している。


質問攻めはあとだあと!

今は銀時の補助に集中しなければ。


頭を一回だけ左右に振ると、良守はすぐに気を引き締める。

指を構え、いつでも結界を張れるようスタンバイして銀時の方を見た。



銀時はなんの躊躇もなしにまっすぐ鬼のほうへと突っ走っていた。



「良守!!」



いきなり呼ばれ、思わずハイ!と返事をする良守。



「結界で足場作れ!」



「おう!」



どこに、だとかは銀時は説明しなかった。

だけどなんとなく分かる気がする。


良守は銀時の数メートル右斜め上に結界を素早く張った。



銀時はそのタイミングを見計らってダン、と地面を強く蹴った。

するとまあ華麗に結界の上に着地。


おお〜と良守は拍手をしたい気持ちになった。

だがそうはしていられない。


再び結界を今度は左斜め上に張る。

銀時はそれに合わせてジャンプを繰り返す。



最初はぎこちなかったその2人の動きは少しずつ、だが確実にスムーズになってきていた。



言うならば息が合っている、ということ。



銀時は気付けば鬼の真上にいた。

木刀を両手で構え、真っ二つに切り裂いた。


多分、降下のときの勢いもつけたのだろう。


鬼もすっぱりと切られた。

止まることもなく。


不気味な緑色の鬼の血が切り裂かれた部分から大量に噴き出した。

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