夜叉と結界師
□第11話 学校
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「良守!」
振り返るとそこには時音がいた。
家から数メートル離れたところで話しかけられた。
「おお、おはよー時音」
良守がいつものようにコーヒー牛乳を飲みつつあいさつ。
相手からもあいさつが…
「あの銀髪男の名前、分かった?」
返ってこなかった。
なんとも悲しい現実だ。
「え、あ、や、うん…分かったけど…」
返事が返ってこなかったことに傷つきつつも返事をする良守。
これぐらいじゃめげないのが良守だ。
「坂田銀時って名前。俺は銀さんって呼んでる」
「へ〜…ねえ、その銀さん?って今どこにいるの?」
「俺ん家」
「え!?あんな正体不明な人家に放置したの?」
「ほ、放置って…でも今うち父さんいなくてさ、丁度よかったんだ。家事洗濯炊事、なんでもできんだぜ?」
「その銀さんが?」
「ああ。今日だって朝飯作ってくれてさ、すげーうまかったんだよ」
「あ、ねえ。おじいさんはなんて言ったの?銀さんのこと」
「別に何も。ただなんか銀さんと会う時だけ繁じいの目が鋭くなんだよな…」
「ふーん…あ、そうだ。今晩連れてきてよ」
「…銀さんを?」
「ええ。いろいろ話したいこともあるし」
「別にいいけど銀さんなんて言うかな」
「いやだって言ったら念糸使いな」
「…時音怖いな、いつもより」
「じゃ、頼んだわよ」
そう言い残すと時音はコーヒー牛乳を飲むことすらを忘れていた良守を一人残して友達のもとへと駆けて行った。
なんというか、嵐が過ぎ去った感覚。
「…なんなんだよ、今のは…」
ポツリと呟き良守もまた学校へと歩を進め始めた。