夜叉と結界師
□第13話 置いてきてしまった
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その頃銀時は食器の洗い物を済ませ、まったりとせんべいを貪っていた。
部屋に響くのはバリボリというせんべいを食べる音のみ。
「はあ…」
銀時はため息をついた。
思えばこっちの世界に追いやられてもう二日。
新八と神楽をかぶき町に置いてきてしまった。
それが心残りでずっと悩みまくっている。
万事屋は多分大丈夫だとは思う。
なんせ新八がいるから。
あれがいれば万事屋はきっと大丈夫だ。
だけど…やっぱり心配でならない。
大丈夫だと頭では分かっているのに、この焦燥感はなんだろう?
そこでふと思い浮かぶのはガハハと笑うじーさん。
そう、己をここに追いやった張本人の顔。
銀時は手に持っていたせんべいを粉々に砕いた。
さっきまでの親心はどこへやら。
沸々と怒りが銀時の奥底から沸きあがってきた。
「…じじい…戻ったら一発しばく」
誓う銀時。
ああ、今ほど憎たらしいと思ったことがない。
それくらい怒りがあるということだ。
と、その時。
部屋の襖が開いた。
入ってきたのは黒い衣装に身を包んだ良守であった。