Long・雪月花

□03.幻の0組
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ランチをほとんど食べ終わり、午後の授業がいやだのなんだの話をしていると


カルラが突然入り口の方を向いてにやけだした

「名前…アンタ今日ツイてるよ」
「え…何で?」

ほらほら、とカルラが指を指したその先に


いた
朱のマントの候補生が

エイトくんと、きっと友達であろう金髪で背の高い笑顔の人と、顔に大きな傷跡のある人だった


「あの人かー…うん、かっこいいわ」
「でしょ!?」

その後のカルラのカモれそうねぇ、という呟きは聞かなかったことにする


「ちょっとしゃべりかけてみなよ」
「え?!」

とんでもない提案に私は自分の顔が赤くなるのが分かった

「む、無理だよ」
「そうやっていつも奥手なんだからー。アタックしないとダメよ?」


えいっ、とカルラの手が私の背中を押す

私は半ばこけるようにエイトくん達の前に躍り出た


「え…あ、あの…」

カルラの方を見ると、がんばれ、というようにポーズをとっていた


改めて3人に視線を向ける

エイトくん達は何事だ、というように私を見つめていた


こうなったらヤケだ
そう思った


「エイトくん!!こ、この前はありがとうございました!!」

エイトくんは逡巡の後、思い出したように口を開いた


「あぁ、あの時の」
「お、覚えててくれたんですか」

「まぁ…」


私、この人と話してる

そう考えると…天にも昇る気持ちだった


今なら、なんでもできる気がした

いつもの自分を、
超えれる気がした



「わ、私、9組の名前って言います!!…お…」

「…お?」

エイトくんが繰り返した


私の口が、勝手に動いた



「…お、お友達になってくださいっ!!」



その提案は高らかに





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