Long・雪月花

□04.マクタイの一角で
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3日後

私はマクタイの街を駆けていた


作戦開始から約30分が経つ
途中投入だからだろうけど、思ったより早く終わりそうだった

いつものようにわき腹に若干の腹痛を覚えながら私は陽動組の援護をしていた



「だいぶ走ったな…」

「名前も足早いんだな」
「?!」

ポツリと言った独り言に返事をされてびっくりした私が振り向くと
そこには…



「え、エイトくん?!」

「無事でよかった」


柔らかい笑みをたたえて、エイトくんが立っていた

その笑顔が眩しいな、って思った


「ど、どうしてここに?」
「どうしてって…」

エイトくんは右手を口元にあてて左斜め下を数秒見た
頬がほんのりピンク色だったのはきっと私の気のせいなのだろう


それからやっぱり私をまっすぐ見て言った


「友達、だろ?だから、無事か気になった」


「え…あ、ありがとう」

じゃあ、と短く手を振ってエイトくんは、あっと言う間に作戦に戻っていった


やっぱりかっこいいなぁ…


私は自分の体温が上がっていくのを自覚しつつ、一つの失態に気づいた

しまった
また一言ずつしかしゃべれなかった

このままじゃいつまでたっても本当の友達になんてなれないじゃないか


そう後悔しながら私も臨時拠点に向かった

拠点の一般兵の人に、熱がないか心配された



友達と言う名の





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