Long・雪月花
□05.繋ぐ通信機
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「もし…そこの朱雀の方」
「はい…何か御用でしょうか、ホシヒメ様」
そう答えながら、私はホシヒメの綺麗さにびっくりしていた
資料で見たことは何度もあるが実物を見るのは初めてだ
声にしても、その容姿にしても、さすが蒼龍の高官という雰囲気だった
「朱雀の魔導院とは、ここでいいのでしょうか」
「はい、ここが朱雀の魔導院です」
今度はナギが答えた
蒼龍の高官が、いったい何のために魔導院に来たのだろう
私の中にそんな疑問が浮かんだ
「ありがとう」
ホシヒメが満足げな顔で言うので思わずこちらも微笑んでしまった
彼女が付き人らしき人と共に踵を返そうとして…
「そういえば」
何かを思い出したように私たちに何か丸いものを差し出した
「これがあちらに落ちていましたよ」
ホシヒメの手のひらに乗っているのもに、私は見覚えがあった
それは…0組の通信機、COMMだった
「ありがとうございます」
私がお礼を言ってそれを受け取ると彼女らは今度こそ踵を返して歩いていった
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