Long・雪月花

□05.繋ぐ通信機
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「それなんだよ?」
ナギが私の手のひらを覗きこみながら言う

「0組の…エイトくんのCOMMだと思う」


「なんでエイトのだって確証がもてんだよ?COMMに似せて蒼龍の作った盗聴器だったらどうすんだ?」

ナギの考えはもっともだ

だけど、私はこのCOMMに確かに見覚えがあるのだ


魔導院解放作戦のとき、マクタイ市街地戦のとき、私と出会った小柄な格闘家は右耳にこれをつけていた

蒼龍が傷の入り方までそっくりに作れるとは思えない


「いや…これはエイトくんのだよ」

「だから、確証が…」
「見たことあるの!!」


目の前のナギは私がいつにも増して強気なのに驚いていた


それもそうだ
私自身も驚いていた

大声を出しだのなんて何年ぶりだろう



「と、とにかく渡してくるから」
私はそう言って、ナギの制止の声を背に歩きだした


きみと私を繋ぐ





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