Long・雪月花
□09.Crimson lake
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廊下のつきあたり
0組の教室の大きな扉の前で私は隊長の″入ってこい″の合図を待っていた
中から聞こえてくる騒音に不安がつのる
なんだか罵声のようなものが聞こえるけれど…
気のせいだということにしておこう
本日37回目の深呼吸をした時、扉の向こうから凛とした声がやってきた
「候補生名前、入れ」
失礼します、と言って大きな木製扉を開ける
…あぁ、キライだ。
この瞬間。
クラス中の人に注目されるこの瞬間が、大嫌いだ
私に注がれる視線、視線。
それを避けるように、かいくぐるように
下を向いたまま早足で教壇へと向かう
クラサメ隊長の隣まで半ば走るように行き、恐る恐る振り返る
「本日付けで0組に編入となった、元9組の名前だ。彼女には主に、クリムゾンにおいての9組と0組の橋渡しをしてもらう」
淡々と説明する隊長の横でうつむいていた私に、隊長が一言喋れ、と囁いた
はやくこの場所から去りたい…
そう思って、ぼそぼそと喋る
「…名前です。…よろしくお願いしま…」
″す″は言うことができなかった
″す″を言うときに、チラッと上を見たから
クラスの人達を見たから
…見つけてしまったから
一瞬のうちに真っ白になる、私の脳内
編入、ということだけに気を取られて、まったく気づかなかった
あなたも…0組だったね…
エイトくん。
歯車は加速する
[目次]