Long・雪月花
□11.予兆
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気づいたら、真っ白な空間に座っていた。
一瞬戸惑ったけれどすぐに気がつく
私…夢を見ているんだ
地平線も水平線も、上も下も、物も色も。
本当になにもないただただ白が続くだけの空間
けれども不思議と恐怖はなかった
確か…前にもここに来たことがあるような気がする
そんなことをぼんやりと考えていたら
「………の…せ…」
声が、聞こえた。
優しい、包み込むような小さな小さな声。
驚いて周りを見渡すけれどそこにあるのは白だけで
どこから声がしたのかも分からない
「……し…の……いのり…せ…」
いのり……祈り?
声が小さすぎて聞き取れない
「誰…?」
声を探しに行こうと立ち上がった瞬間
世界が暗転して
私はベッドの上にいた
耳元で目覚まし時計のアラームがけたたましい音をたてている…
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