Long・雪月花

□12.邂逅
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午後の講義のために教室に戻ると教壇近くで何人かがなにやら深刻な面持ちで話していた
私は教室の後ろの方の席に座ると無意識に聞き耳をたてる

そんな自分に気がつくと、自嘲の笑みがこぼれた
どうやら癖はなかなか抜けないらしい


そのとき、教室に入ってきた…マキナ、だっけ?が教壇近くのレムを見て足早に駆け寄った
…うん。名前、はやく覚えよう

「レム、どうかした?」
軽くうつむいているレムに心底心配そうな視線を向けるマキナ

この2人、もしかして付き合っているのかな…?


「うん…あのね、さっき噂で聞いたんだけど…北部戦線に、シュユ卿がいたらしいの」
「シュユ卿?!朱雀のルシが?!」
マキナが大声で驚く

私も驚いていた
…嫌な予感かする…

「ルシが理由もなく動くことなんかないでしょ?だから、一体何が起こってるんだろうって」
「確かに…ルシが戦場に現れるなんてただ事じゃないよな」


今回、白虎はルシ・クンミを使って電撃侵攻をしてきたとはいえ、本来ならルシの戦争介入はパクス・コーデックスにより禁止されているのだ
…まぁ、人間が作った法律をルシ───つまりクリスタルが意識しているのかは定かではないが。

なんてボーッと考えていると、すぐ隣で人が座る気配がした


「あの、名前さん?元気ないみたいですけど、何か悩み事でもあるのですか?」
おずおず話しかけてきたのは…デュース、かな
「ちょっと独特な雰囲気ありますけど、0組のみなさんはいい人ばかりなので大丈夫ですよ」

にこにこっと言うデュースは天使の笑顔
まるで私の人見知り問題を見透かしたかのようか発言に驚いた


「うん…ありがとう」


少し緊張がとけた気がした





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