Long・Fatalism

□3rd.zidane's resolution
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「……3年前、私の両親は盗賊達に命を奪われました」
「私は、そいつらがすごく憎かった。許せなかった」
「そのとき、声が聞こえたんです」
「その声は、憎いのなら私に任せなさい、と言いました」
「私は…馬鹿な私は、言われるがままに意識を手放してしまったんです」
ジタンさんは何も言わず、ただただ聞いていた。
うつむいたまま、私は続ける。
「そして…気づいたら、生きている人は私だけになっていたんです」
「それから、です」
「私と関わった人は、さっきみたいにトラブルに巻き込まれてしまうんです」
「これはきっと、呪いなんです」
「私がしたことへの、罪なんです」
「だから…だから、ひとりで生きてきた」
ゆっくりと最後の言葉を紡いで、口を閉じた。
ジタンさんはどんな顔をしているのだろうか?
きっと、私に呆れているんだろう…
やっぱり、話すんじゃ…っ
「名前」
厳しい口調で呼ばれた名前に驚いて前を見た。
ジタンさんは、真剣な顔をしていた。

名前ちゃんの話を聞きながら、オレは行き場のない怒りの感情に襲われていた。
本当に名前ちゃんがやったのか確証がないじゃないか。
…絶対辛かったはずだ。
なのに。
ひとりで抱えて生きてきたのか。
こんなの…
悲しすぎる。
「名前」
彼女の名前を呼ぶ声は、想像以上に厳しいものになってしまった。
顔をあげた名前ちゃんは驚いた顔をしていた。
けれど、オレは続ける。
「…だったら、オレが側にいてやる」
ほっとけない。
この、今にも壊れそうな優しい彼女を。
「オレが呪いなんてないってことを証明してやる」
呪いがなんだ。
そんなのオレがぶっ飛ばしてやる。
「一緒に、歩き売りしよう」
こういう人を笑顔にするために…
オレは強くなったんだ。
名前がなんと言おうとも、ついていってやる。



Zidane's resolution

(力に、誓う)





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