Long・Fatalism

□4th.Transition
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ジタンさんは、私がすべてを話した次の日から歩き売りを手伝ってくれた。
ジタンさんはとても面白い人だった。
私の知らないことをたくさん知ってて別の大陸の話とかをしてくれた。
それと、リンドブルムではかなり顔が広いみたいで行く先々で声をかけられていた。
「んじゃ名前、また明日な!」
「はい。また、明日」
挨拶を交わして家路につく。
昼間は楽しい。
大好きなことを誰かと一緒にすることがこんなに楽しいなんて。
世界がこんなに輝いて見えるなんて、知らなかった。
けれど、そのかわり。
夜が私を襲うようになった。
「ただいま」
自宅のドアを開けても、広がるのは闇。
ただいま、と声をかけても、響くのは静寂。
この、一人の時間がとてつもなく辛くなった。
ジタンさんに話してもよかったのか?
自分の選択は間違ってなかったのか?
たくさんの疑問と後悔があとからあとから湧いてきて、自己嫌悪がひょっこり顔を出す。
こんなことを思うなら…明日にでも、もう来ないで、と伝えればいいのに。
危険に巻き込むって分かっていながら、現状維持をしたがる私。
最低だっ…!!
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