Long・Fatalism

□5th.Omurice
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次の日。
今日も夕焼けが綺麗だ。
「あ、それはここにお願いします」
「りょーかい!」
ジタンさんはテキパキと片付けの手伝いをしてくれている。
楽しそうな横顔を見て、なんだか私も幸せになる。
「あらかた終わったかな?」
「ええ。ありがとうございました」
別れの挨拶が私の口から出る前に、ジタンさんがにこっと笑って言った。
「名前、ご飯食べに行かないかい?」

数分後。
何度も丁寧にお断りしたのに笑顔なジタンさんに連れられて私はたくさんの飲食店が立ち並ぶ大通りに来ていた。
「名前、あの店に入ったことあるか?」
「…いいえ」
「それじゃああの店にしよう!ここのオムライスが美味いんだ!」
もうここまで来たら逃げ場はない…初めからなかった気もするけど。
「店長、久しぶりー!」
ジタンさんが扉を開ければ、カランカランと綺麗な鈴の音が響いた。
お世辞にも広いとは言えない店内。
けれど、なんだかほっこりするような雰囲気に満ちていた。
「おお、ジタン!久しぶりだな!」
元気にしてたか?とジタンさんに聞くおじさんは目尻に笑い皺を出して微笑んだ。
この人が店長ならこの雰囲気にも納得。
「おう!あ、オムライス2つな!」
「なんだい、彼女かい?」
え、彼女?
ニヤニヤと店長が私の方を見る。
「…あー、その予定!」
「え…!ちょ、ちょっとジタンさん!!」
慌てる私に二人は爆笑した。
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