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□聖なる夜に
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今日の魔導院はなんだかテンションが高い
それもそのはず

今日はクリスマスなのだから




私はたくさんの候補生の間をぬけて0組の教室へと向かった

「みんなおはよー!!」


扉を開けると…
「名前、メリークリスマスー!!」

おどけた調子でサンタ帽をかぶったシンクちゃんが私に抱きついてきた


「シンクちゃん、メリークリスマス!!」

「あ、名前にこれあげるねー」

そういって彼女は私におそろいのサンタ帽をくれた


よく周りを見渡すと…0組全員が同じ帽子をかぶっている
そしてジャックを中心に教室をクリスマス風にデコっていた

…みんなやりたい放題だ


「ありがとう。この帽子かわいいね」
「いいよー」

えへへ、と笑うシンクちゃん越しに、私は…ナインを探していた


いつもなら一番に見つけることができる彼の姿を見つけられない


「あのさ…ナインは?」
「えーっとぉ…ないしょー」

いたずらっぽく彼女が笑ったとき、始業のチャイムが鳴った




「…なんだこれは」

それが隊長が教室に入ったときの第一声だった


「だって隊長ー、今日はクリスマスだよー?」

そう答えたジャックを睨んで黙らせた後、教卓に立った彼がふと気がついたように言った


「ナインはどうした」

0組全員がにやっと笑った(ような気がした)そのとき



「メリークリスマスだぜ、コラァッ!!」

扉を蹴っ飛ばして

全身サンタの格好をしたナインがやってきた


瞬間。
私達は背筋が本当に凍りそうな程の冷気に襲われた




昼休み。
私はナインと2人で裏庭にいた

彼はまだサンタ姿で、その裾はところどころ凍りついていた

「ねぇナイン。いつまでその格好してるの?」


私は隊長への文句をぶつぶつと言っている彼に聞いた

「だってよ、俺まだやることあんだ」


「やること…バイト?」
「んなわけねーだろ!!」

全力でつっこんでくれた後、彼は何かを言いかけて


けれども言葉をつまらせて、顔を真っ赤にして頭をガリガリとかきながらそっぽを向いた

そんな彼を見つめていると

小さな、小さな声で。


ぽつり、と囁いた



「名前に、プレゼントがあんだよ」

そしてまたそっぽを向いた彼は、今度は耳まで赤くなっていた


差し出された右手には小さなかわいい箱がのっている


「…ありがと」
彼の後ろ姿にそう言った





恥ずかしがり屋な私の彼氏は。
真っ赤な頬のサンタクロース






聖なる夜に





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