短編

□君の【斎藤一追悼企画】
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「は…ん」
「はじ…く…」


誰かがよんでいるのが聞こえる。
どうなったのだ俺は…死んだのか?


「一君!!」
「…そう…」
「よかったあ」

目の中いっぱいに総司の安心した顔が広がった。
その背後には見慣れない天井。
保健室か…。

「俺は死んだのか…」
「死んでないよ。ほらっ」

やさしく頬をなでて俺が生きていることを確かめてくれる。


「俺はどうなったのだ?」
「車にひかれかけたの」
「そうか」

言われてみれば体中痛い。
全身打撲…。

「車にどんってぶつかって、倒れた時は僕真っ白になっちゃったよ」

「…すまないな」

あやまった とたんに総司の顔が悲しげに歪んだ。

「僕のほうこそごめんだよ」
「何故」
「…昨日守るって言ったのに」
「気にしてなどいない。そもそも総司とこの世界で会うまでの間は俺一人で生きてきたわけだしな」


ふいに、俺の頬に暖かいしずくが伝う…涙。
総司が俺の上で泣いている。

「…この世界でまた会えたんだから…僕がいるんだから…守らせてよ」
「…ああ……」
「ごめんね…かっこ悪いよね…」
「ぁぁ…すごく」


今のよわよわしい総司は嫌いだ。いつもの総司のほうがいい。

「来年は…ううん、今からさき、ずっと守るから」
「…守られるのは嫌いだ」
「でも」
「だから俺も総司を守る」


そうすれば平等だ、と呟いて総司の涙をぬぐってやった。
まったく世話もかかる奴だ。

「…総司…」
「ん?」
「…今年は去年より少し死にかけた気がする」
「…そう?」
「ああ」



毎年、俺の命日には何かが起こる…。

来年は…。

























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